2016.12.29
石研き
佐藤賢太郎 

宮城県産の伊達冠(だてかんむり)という石がある。いわゆる泥かぶりという石で、名前のように石の外側が鉄分で赤くなっている。まるで泥をかぶせたような石である。この石を有名にしたのは、彫刻家イサムノグチが使ってからのようです。

私も数年前から使っているが、今回この石で石臼を作った。ところが石の中にも傷が現われて何度も磨き直しをした。もういいかと思うと、また傷が現われる。また一から出直しで、キズを削って、次の段階に磨いてゆく。いい加減にやめたくなってしまう。結局、この石の中の傷が消えるまで磨くことになった。こんなに磨き直したのは初めてであった。

ここから学んだことは、基礎をいい加減にして前に進むと、必ずその手抜きがはっきり出てしまうということである。急がば回れ。そしてこの石で気が付いたことがある。中に傷がある石と傷がない石のみわけかたに確信をもった。石を割ったその石肌で解る。石を購入する段階で選べばいいと気が付いた。石に教えられることが多い。石は一般的に硬く、粘土のように自由度はない。しかしこの不自由さゆえに導いてくれることもたくさんある。これを人間の生き方に置き換えると面白い。西会津町に縄文土器を作る名人がいる。その方と話したとき、何もできないと愚痴を言うのは簡単で、言い逃れのための言い逃れではないかと話した。 

ついでにもう一つ。我が家では薪ストーブを使っている。ストーブの薪は単独では燃えない。複数集まって燃えやすくなる。いろいろな個性が集まるコスモ夢舞台もそうであると思った。