2013.08.14
人生終わりかな?
佐藤賢太郎

 正確には「人生終わりかな?」ではなく、60歳になるある主婦は「人生決まった」と家内に言った。60歳を過ぎたある方も、「もういいですね。これから何かやろうとは思わない」と私に言った。

このような言葉を聞いて、今の自分の人生を見つめることができます。日本人の平均寿命は男子80歳、女子は85歳なったようですが、そこまで健康で生きられたとしても私は後15年です。そのうち精力的に生きられるのは10年かもしれない。確かに、私も時間の制限が見えてまいります。  

先に申しました幕引きかなという方は、もっと後ろ向きなのだろうと思います。時間に制限があるとしても、そんなことを忘れて今が青春ですね。私は65になりますが、できないかもしれないことに挑戦しようという気力があります。いつからこんな風になったのかはっきり分かりませんが、ガンに罹って医者に頼らず、命懸けの自助努力で治そうと歩んだ中で養われたかもしれません。ガンを治すには心が一番大事であって、生きる希望を見つけることと教わりました。

ガンが治ることを想定して、今年個展を開催、講演会を3回開催、来年はギリシャに作品制作に行く決意をしました。健康であればともかく、ガンを治す最中に、そんなことを決意するのは考えられないでしょう。

講演会の初回は終了、個展も終了、残すは2回の講演会。一つは大学生を巻き込んで行う講演会です。大学生がスッタフとなって、私の講演のために努力してくれることで成り立つ講演会です。私は中心となってくれる女子大生に何度となくメールを送り、時に直接会って話し、時に大学生が「止めた」と言いはしないかという一抹の不安もあります。でも講演会に向けて進めています。私のためでもあり、学生の勉強にもなる。社会のために役立つのではないか、私はここに焦点をおいています。

 私はオリンピックの金メダリストでもなく、芥川賞作家でもありません。そんな私に若い大学生が関心を持ってくれることはとても幸せです。講演会に向けてやり取りしながら進行してゆくことが面白いです。講演会は3か月前から準備して開催しますが、大学生とはもっと長い時間をかけています。半年以上でしょうか。私の講演内容などは問題ではありません。なぜ学生がスッタフとしてやってみたいか、そこが一番大事だと思います。そのために、大学生にいろいろと考える機会を提供します。そこに私はエネルギーを注ぎます。講演会は、言うまでもなく収入につながるような仕事ではありません。そうでありながら、一生懸命になれる。しかも、次世代の方にとっては、価値とは何かを考える機会となります。

人は困難に出会っても、それを乗り越えようと努力することによって、以前にもまして輝けるものです。ピンチはチャンスなのです。人生はもう決まった、そんなことはない、人間関係も無限に広がっています。

最後に嬉しいことを報告します。ガン患者のために書かれている「いのちの田圃」152号の冊子に、4か所私の記事が掲載されています。大変光栄なことです。こんなことは2度とないでしょう。ガンにならなければ、こんなところに紹介されませんでした。ご希望の方にはお分けします。「いのちの田圃」は、ガン患者むけだけでなく、人のあるべき生き方をやさしく書いている解説書です