2011.06.01
目覚めのとき
森 紘一

コスモ夢舞台の今は、今年で8回目を迎える里山アート展に象徴される。

秋、10月。稲刈りの済んだ田んぼに色とりどり、形も素材も様々な作品が花開く。子どもから大人まで、もちろんプロの作品も並ぶ。会場は、田んぼから杉林、阿賀野川の川面へと地域全体に広がっている。

 田んぼ周辺には、ハスや水芭蕉の咲く池、メダカやドジョウ、おたまじゃくしの棲む小川や三層の池も造られた。SL磐越西線の走る線路側と阿賀野川沿いには、地元青年団の協力で桜や紅葉が植えられている。周辺のビオトープづくり、景観の整備も年々着々と進められている。

 春から秋にかけて、旧鹿瀬地区の阿賀町豊実は過疎の集落だが人がふえる。里山アート展の開催日に行う「田んぼ夢舞台祭り」は、見物客が200人を超える。アート展会期中の約一ヶ月間は、首都圏や近郊の福島、新潟市内からの人びとと地元の人びとの交流も活発となる。

今年は、田んぼの畦道を石やU字溝を砕いた石畳で覆うことになり、雨天でも歩きやすい散策路として秋までには完成予定だ。これで、子どもたちに喜ばれる小さな生き物の見学ルートも誕生することになる。

また、アート展の会場には永久設置の作品がふえている。大小の杉の丸太を使った『コスモ夢舞台の橋』や『シーソー』もその例である。そこに、佐藤さんは物語性のある『鳥獣戯画』を並べたいという。アート展の公園化というよりも、田んぼ夢舞台公園づくりが進められて行くことになる。

ところで、3.11以降「ガンバレ東北!」に我われもささやかながら協力してきた。しかし、我われのモヤモヤは一向に晴れない。

昨年秋、阿賀町で開催された防災ツーリズムでは、日常の助け合いがまさかの時に生かされると強調されていた。

5月の震災フォーラムに集まった15名は、それぞれに被災地との息のながい支援と交流を誓い合っている。それでも、「我われにできることは何なのか?」まだ正解は見つからない。

 そんななか、我われの活動はコスモ夢舞台の「魅力ある田舎づくり」として、自然食を作る農の推進事業や食と健康の開発事業、コスモ夢舞台塾の開校へと大きく開かれることになった。

 そして、佐藤さんはコスモ夢舞台の支援活動にふれて、被災地の状況が許されるなら皆さんを豊実にお招きして、ともに語らい、「魅力ある田舎づくり」にご協力をいただきたいと旗幟を鮮明にされた。

 奇しくも、今年の里山アート展のテーマは「循環・再生・創造」である。我われも一人ひとりが、自分のできることを懸命に模索していく年としなければならないようである。