2013.03.02
欧州文化首都のプレゼンテーションに出席して
森 紘一 

今日から弥生3月、春めいた陽気に有栖川公園の紅梅、白梅も大分ほころんで見えた。EU・ジャパンフェスト日本委員会の古木事務局長からご案内をいただき、ともかく覗いてみようと、鈴木隆雄さんと南麻布のヨーロッパハウスへ急いだ。 

ドイツ大使館を右に折れて会場へ向かう途中で、里山アート展の常連作家である丹野由美子さん、衛守和佳子さんと出会った。開演の18時には、少し余裕の到着だった。

 欧州連合代表部・EU大使公邸の会場に入ると、和歌山芸術文化支援協会の井上理事長や我孫子野外芸術協会の江上会長、社会芸術の吉田冨久一さん、長谷川千賀子さんと次々に顔見知りに巡り会い、気分も落ち着いてきた。

EU・ジャパンフェスト日本委員会の古木さん、箱田さん、佐伯さんはいつも通りの表情で現れ、関係方面の方々と挨拶を交わされていた。いつの間にか、100名近い席は満杯となっていた。 

 本日、プレゼンテーションを行う都市は、2012年のマリボル(スロヴェニア)とギマランエス(ポルトガル)、2013年のマルセイユ(フランス)とコシツェ(スロバキア)、2014年のリガ(ラトビア)とウメオ(スウェーデン)の6都市。 

昨年、実績を残されたマリボルやギマランエス、すでに始まっているマルセイユとコシツェ、そして来年のリガとウメオの各プレゼンターは、それぞれにビデオや写真を駆使して表情豊かにPRを展開されていった(日本語通訳付きで大いに助かった)。 

スロヴェニアのマリボルは、欧州文化首都になったことによって中世の街並みに観光客も誘致でき、一定の経済効果は上がったと報告された。これからは、高齢化が進むなかで若者文化を育てていくことが急務と、我が国と同じような事情も披露された。 

ポルトガル発祥の地とされるギマランエスのプレゼンターは、最初のユネスコ文化遺産として登録されている旧市街地を、新しい出会いの町として再生していきたいと意欲的な発言をされていたのが印象的だった。 

フランス最古の都市マルセイユは、また最大の港湾都市でもある。オープニングの最新映像を拝見したが、今年は世界各地からかなりの観光客を当て込んでいる様子である。エクス・アン・プロバンス大通りの街路樹を赤と白の水玉で覆った草間弥生の作品や青森県田舎館村の田んぼアートも話題になっているようである。 

コシツェはスロバキア東部の代表的な工業都市である。こちらのオープニングも、ライトアップされたカテドラル教会や壱太郎氏の和太鼓演奏など楽しい映像だった。工業都市から、さらに教育文化都市へと進めていきたい意向の様であった。

 2014年開催予定地のリガ(ラトビア)の旧市街地は、世界遺産に登録されている歴史的建築物の宝庫である。開催に向けて、力の入ったその映像は美しかった。アート鑑賞や音楽会に、是非お越し下さいと言う呼びかけにも熱がこもっていた。 

同じく、来年の開催予定地ウメオ(スウェーデン)からは、女性市長が自ら演壇に立って熱弁をふるった。1年を8シーズンに分けて多彩なイベントを展開するという。

最後に各国のプレゼンターを壇上に呼び、EU・ジャパンフェスト日本委員会の古木事務局長を名指して、お礼の拍手で壇上に迎えるというパフォーマンスもあった。 

「真のヨーロッパ統合には、お互いのアイデンティティーとも言うべき、文化の相互理解が不可欠である。」という欧州文化首都の意味合いと、EU・ジャパンフェスト日本委員会が果たす役割の大きさを、あらためて知らされる思いがした。