2020.9.26
龍雲寺の作品
佐藤賢太郎

 私の住んでいるところは日本海側にあり、雪の多いところです。かたや、いわき市は雪のない太平洋側にあります。如何していわきと豊実に接点があったのでしょう。それは誰もが疑問に思うことです。
 それはある人を介して、私に龍雲寺で地蔵の彫刻を作ってくださいと依頼されたからです。長年探し続けたという地蔵だったのです。それが住職の奥様、鮫島友理恵さんの思い入れの強さです。その点、私と共通しているようです。さらにフクロウの彫刻を依頼されました。そんな縁でつながって、いわきとの交流がありました。

 ところで、私は鳥獣戯画で有名な京都の高山寺(こうざんじ、こうさんじ)の国宝絵巻をヒントに彫刻にしました。それを日本橋高島屋の個展で出品いたしました。その折、龍雲寺の住職さんと友里恵さんは、遠路わざわざいわきから日本橋に見に来て下さいました。
 あれから、ずいぶん月日がたちましたが、私はいつかどこかにこの彫刻を置きたいと念願していました。その間、彫刻は豊実の田んぼに置き展示していました。それが最高の場所、いわきの龍雲寺に決まったのです。さらに住職さんより禅ホールの文字も依頼され、記念に昔の原点である彫刻を寄贈しました。

 そして驚くことに、龍雲寺に置いてある石で石庭を作ってくださいと言われました。しかも短時間に制限のある中で造るのです。
 私は竜安寺、桂離宮、修学院離宮を思い浮かべました。あまりも有名なところには似ていませんが、私の思いです。京都に行かずとも思いは京都です。庭つくりは一回で終わろうとしましたが、2日間になりになり、3日間になり、おそらく最終的には4日間になるでしょう。 
 もし龍雲寺様がよければ、桂離宮と同じような蹲(とても重いものです)を禅ホール完成記念に寄贈する予定です。
 こんなに私が夢中になれることは、我が人生最高の仕合せであります。意気込みは意気込みを呼びます。 
 合掌