2019.10.03.
佐藤さんの腹痛
森紘一

 9月29日(日)、豊実は朝から小雨が降っていた。

  朝飯前に、来年の国際アートフェスタの会場予定地の田んぼに出向いた。佐藤さんを先頭に、助っ人の矢部孝志さんも加わって、大野さん、大塚さん、桐山さん、小宮さん、時崎さん、それに私の8名は、今は使われていない畦道から山に入って行った。

 前回(9/8日)下見に来た時に較べると、あぜ道の雑草は刈られ、途中の傾斜地にはロープが張られ、倒木もだいぶ片づけられていた。それでも、ここに田んぼがあったとはとても信じられない光景である。

 かつての田んぼ前で「来年の国際アートフェスタはここで開きたい」と佐藤さんは

熱い思いを語った。日本のコメ文化を知ってもらいたい、日本人の自然との取り組みや生活習慣を知ってほしい、この会場周辺をアートで演出し、外国人とそれぞれの文化や生活を語りあかしたい。そのとき、佐藤さんの横顔は鋭く引き締まって見えた。

 和彩館に戻って朝食後、今年のアートフェスタの会場となった国道459号線沿いの山林に入って写真を撮ることになった。会場を佐藤さんと巡る作品鑑賞会にお見えになっていた博進堂の清水さんと女性軍も加わって、雨中の全員集合である。出かける直前、佐藤さんはトイレにかけこまれたが、腹痛とだけ口にされた。

撮影を終って和彩館へ戻ると、軽トラを離れ際「清水さんを案内して、先に会場へ行って」と佐藤さんに告げられた。顔色はすぐれず、声に力がなかった。

会場をひと巡りした後、昨日(9/28)オープンした「オサダ美術館」を清水さんと仲間たちと見学していると、時崎さんのケータイが鳴った。「母家のトイレにいる。マキ子に来るように伝えてくれ」という佐藤さんからの伝言だった。まさかの異変に我われも驚いた。

 ほどなく戻ると、「しばらく休めば大丈夫ですよ。命に別状があるような様子ではありませんから」。マキ子さんの言葉に我われもホットした。

その後、しばらく横になった佐藤さんは復活して、何事も無かったかのように和彩館のテーブルに着かれた。「いやあ、苦しかった」とはいうものの笑顔は戻っていた。

佐藤さんの腹痛が、疲れやストレスからくるものかどうかは解らないが、ともかく一過性のものであることを祈らざるをえない。