2009.12.

2021.6.20
飽くなき作家の執念を見る
鈴木隆雄

 2021年は昨年に続くコロナ禍で始まり、佐藤さんの著書「我が人生と出会い」の出版記念パーティーは中止になり、昨日(6/19)予定していた縄文道の加藤春一氏と佐藤さんの対談も中止になりました。
 このようななか、先日行われた「第3回奥阿賀国際アートフェスタ」に参加できなかった大塚さんと私と縄文ミュージアム、ストーンサークル、縄文村建設現場などの見学に阿賀町豊実を訪問した。
 
 関東甲信越は梅雨に入り、雨の東北自動車道290qの道のりをひた走り、豊実に着いたのが丁度お昼時であった。博進堂社長清水伸氏他二人、時崎庸二夫妻も縄文村見学に訪れていた。
 和彩館の店主マキ子さん絶品の手打ちそばをほおばり、コーヒーをいただき、落ち着いたところで縄文村建設現場、ミュージアムを佐藤さんに案内していただいた。

 現場は一変していた。12年前、体験学習の生徒受け入れのお手伝いに豊実に滞在し、杉林の中の狐窪という昔田圃だった平地があり、そこでワラビなどの山菜採りを生徒と一緒に体験したその場所が、佐藤さんの創造する縄文村ストーンサークルの聖地になろうとしている。聞いてはいたが想像のつかない、「一作家がここまでやるか!」ということが起こっていた。

 佐藤さんは作品の制作、里山アート展はじめイベントのプロデュース、生活そのものを芸術に結び付ける思考、そしてこれらをまるごと楽しむ達人のようにも思う。
 湧いて出てくる想像力を彫刻作品に表現し、人生のすべてをかけて作品作りに集中し、常に挑戦し今、作家個人で手掛ける縄文村建設の壮大なプロジェクトを完成させようとしている。

 かの岡本太郎は縄文土器に出会い、土器や土偶の縄文人の純粋な造形力に強く刺激を受け、『太陽の塔』を造ったとあります。
 「自然に挑み、自然と闘い、そして自然と溶け合い、自然を逆に活かす。自然と人間が一体になるところに、血を流しても全身を爆発させ生きていく、それが文化であり芸術であり生き方である。(2021.6.20/NHK日曜美術館アートシーン岡本太郎)」と芸術家岡本太郎は云っています。

 多くの著名な作家や学者が縄文文化を研究し、そこから学び今の時代に縄文文化を映し、時には警鐘を鳴らしています。
 佐藤さんの縄文村構想は、佐藤さんの芸術活動の集大成であり、豊実という寒村の里山に、ストーンサークルを象徴とした縄文文化を映し、縄文人の“足るを知る”自給自足の生活の楽しみ方を教えてくれる空間になるのではないだろうか。