2014.12.07
ギリシャ夢の架け橋を読んで
大塚秀夫 

ギリシャで彫刻を作っていくプロセスがそのまま本のストーリになっているのが面白い。

お母さんが佐藤さんの描いた絵を見るたびに癒され元気になっていく。そこにお母さんが元気でいなければギリシャなんかとてもいけない。ギリシャに何としても行くのだという思いが込められている。 

佐藤先生はブログにもすらすらと文章を書かれる。私はなかなか書けない。

佐藤さんは短くてもそのまま心情を吐露されるからだ。だからこの本もあんな状況の中で物語が際立っていると感心する。 

ギリシャでの奮闘ぶりがグングンと伝わってくる。まるで自分が2mの大きさの大理石に対峙しているかのようだ。炎天下で掘る作業は厳しい。日中は仕事ができない。
でも、間に合わないからそれでもテントのもとで掘り続ける。 

とうとう佐藤さんは熱中症にかかったようだ。板の上に横になって休憩している写真も掲載している。この写真も誰かお願いして撮ってもらっているのだ。まるで自分ではないのだが読んでいるうちに私が一瞬一瞬石を刻んでいるかのように感じられる。 

 彫刻見学会のご一行ツアーの私たちはと言えば、のんきにエーゲ海一日ツアーである。その翌日クルータ広場で完成した作品「絆」を見たとき、私は感動しました。あの厳しい現実の中で作品を見た瞬間、佐藤さんの魂といのちの鼓動が伝わってきたのだ。 

リオシスさんの奥さんが言った。「サトーに会いたくなったら私はゴルゴーナに会いに行く」という意味が分かった。