2009.12.

2020.10.5
豊実余話
森紘一

 10月1日(木)いわき市の龍雲寺の除幕式も無事すんで、久しぶりに仲間が佐藤さんを囲んで和彩館に集まった。第2回国際アートフェスタの最終日(6/28)以来のことである。よもやま話は尽きることがなかった。
 まちつくり学校の池井さん、乙川女史の参加もさわやかな刺激だった。
 「乙川さんなら、私の秘書役が務まるかもしれない」。佐藤さんの冗談は、半分本音かもしれない。
 それにしても、石庭や鳥獣戯画の石彫が佇む龍雲寺のスケールの大きさには驚いた。この不思議なゆったり感はどこから来るのだろう。
 コロナ禍で家に閉じ込められ、鬱積した生活を余儀なくされている我々にとって、この解放感は嬉しかった。参加された皆さんも同じような感想を語っている。造形作家として、佐藤さんはあきらかに新天地を開かれたのではないだろうか。

 その夜、地域の活性化に協力している佐藤さんを評価する声が高まっているという話を伺った。これもまた嬉しい話だが、だからと言って即、コスモ夢舞台の活動が認められたことにはつながらない。誰よりも佐藤さんが、そのことを一番認識されている。
 それだけに、HBCの取材や放送予定の話は、佐藤さんの生き方やコスモ夢舞台への思い入れなどに焦点を合わせたヒューマンドキュメントに、ぜひ仕立てていただきたい。

 佐藤さんは最近、「後継者ができないことは焦っても仕方のないことだ、自然体でいく」と発言している。
 それは、ご自分の作品を公共機関などに寄贈しはじめた頃とほぼ時を同じくしている。何よりも持続可能な夢を持ち続け、その後継者に恵まれることが佐藤さんの幸せであることに変わりはない。
 コスモ夢舞台もNPO法人となって10年を迎えている。会員の高齢化が進む中で、あらゆるチャンスを生かして若い世代との交流機会をふやし、新しい仲間を迎え入れていきたいものである。
 
 里山アート展も今年で17回目の開催となる。外出自粛が要請されるコロナ禍の最中に継続開催できたことは大きな成果であると思う。
 その里山アート展に欠かせない長老長田先生が、この夏、交通事故が元で体調を崩され他界(享年88歳)されたというニュースには驚いてしまった。
 やさしい笑顔の温かい人柄が偲ばれます。アート展の会場手前にある長田美術館は昨年(9/28)開館している。先生の作品の数々は、小さな集落の宝物である。心からご冥福をお祈り申し上げます。