2009.12.

2016.01.31
異色のギャラリートーク
森 紘一

 都心にも雪が降るかもしれないと予報が出ていた30日(土曜日)、早朝からの氷雨は止んだが気温は低く、昼下がりのビルを吹き抜ける風は冷たい。

東京銀座3丁目のキャノンギャラリーでは、28日(木曜日)から『 加藤健志 写真展【空から伝える目撃者】〜パイロットと見た日本の風景〜 』が開催されている。今日は午後2時から「ギャラリートーク」が開催されるということで、コスモ夢舞台の東京ブロックからは6名が会場に集まった。

航空写真家の加藤さんと雄飛航空社長でパイロットの藤間七郎さんは20年を超えるコンビだという。ギャラリー会場に飾られた写真は、5年の歳月をかけて撮影されたどれも素晴らしい風景で、日本列島の四季が彩りも鮮やかに描きだされている。

地上から200〜400mの上空でヘリを操縦する藤間さんとシャッターチャンスを狙う加藤さんの“阿吽の呼吸”が、これほど見事な作品を生みだす背景には一体何があるのだろうか。 

マイクを手にした加藤さんと藤間さんのやりとりを聞いていると、お二人の信頼関係とともに、何とか感動を伝えたいという熱意が伝わってくる。そこには、収益性よりも公益性を念頭においた大人の感性が漂う。そこからはまた、お二人の夢を追う生きざまが感じられて心地よい。会場いっぱいのお客さまも、楽しそうに聞き入っている様子である。 

加藤さんの上空撮影時間は6500時間を超え、年間200日は空を飛んでいるという。まだ見ぬ日本の風景をこれからも撮り続けていきたい、と語る加藤さんの眼は少年のように輝いている。 

藤間さんは若き日、本田宗一郎さんの社用機のパイロットをしていたそうだ。日本アルプスの上空で、「この素晴らしい絶景を見ないで、一生を終える人のことを思うと俺とお前は幸せだなぁ」といわれたことが忘れられないという。私が今までに体験してきた空を飛ぶ楽しさ、美しさ、便利さを大勢の方に感じていただきたいと思う、と語る藤間さんに加藤さんも大きく頷いていた。 

コスモ夢舞台の会員でもある藤間さんは、平成17年(2005)豊実の「蔵・銀河」の落成記念パーティに埼玉県の川島ヘリポートから飛来され、新潟市内から来賓を輸送されたことがある。その時、上空から里山アート展の会場周辺を撮影されたのが加藤さんで、今でもHPに「ヘリコプターから見た豊実」として掲載されている。

 新発田出身の藤間さんは同じ新潟県人として佐藤賢太郎さんとの交友も長い。4月にモロッコへ渡航する佐藤さんに「お互いに飛んでいますね。お元気で!」とエールを送られている。 

 ギャラリートークの最後に、加藤さんからサプライズがあった。「航空写真を撮ってみたいと思う人、ヘリコプターに乗ってみたいと思う人はどのくらいいますか?」という問いかけに会場から30人前後の挙手があった。「それでは、これから抽選があります」に会場がどっと沸いた。藤間さんの操縦で体験フライトのチャンスを6名の方が手にした。

何とその中にコスモ夢舞台の3名が入っていた。まさに、想定外の驚きだった。