2009.12.

2020.10.8
時たまの秘書
佐藤賢太郎

 私はしがない彫刻家です。会社社長でも政治家でもない、経済的に豊かでもない私に、女性秘書がようやく現れた。この秘書は時たま通う秘書です。死にちかづく私は72歳です、でも今が最高、豊かな生き方をしています。

 しかし、私の秘書になるのは難しいと思う。私の秘書の条件は、アートができて、肉体労働ができて、アートの話もできて、車の運転ができ、事務仕事ができ、しかも人間的に柔らかくないと務まりません。ぜいたくを言いながら、私にはお金があまりありません。この条件だから難しいのです。ただ私は、感動を与えることができる。つまり、面白い人生を歩ませることができる。これは秘書でなくとも、感動を共有するところがいいですね。

 秘書の話に戻ります。お金は使うもの。生きてゆくのに必要です。お金がなかったら、作品を売れればお金は入ります。それは、人を感動させればいいのです。しかしそれも簡単ではありません。人間性が問われます。私は秘書のことを言えるだけでも幸せです。秘書に該当する方や知人もこの文章を見て笑っているかもしれなせん。