2013・12・4
佐藤賢太郎さんの講演会「来たバスに乗れ」に参加して
EUジャパンフェスト日本委員会 長谷川裕子

1130日の講演会に是非来てください。」佐藤さんとお約束したのは半年も前だったと思います。私たちEU・ジャパンフェストが関わった「佐藤さんが乗ったバス」の行方を追い、私は新潟へ向かいました。

講演の前半、「ギリシャ行きのバス」の話がありました。開口一番「誰が間違えたか1ヵ月も前に誰もいないギリシャへ行ったんですよ!」「EU・ジャパンフェストへ電話しても“そんなことは知りません”言われました。」と。2006年、ギリシャの石彫 シンポジウム主催者から派遣要請を受けたものの、先方とのやり取りが不十分なまま、私たちは佐藤さんを現地に送り出しました。講演の冒頭に出てきた佐藤さんの言葉に、私は事務局の一員として席にいることが恥ずかしく、思わず手にした資料で顔を隠してしまいました。

同時にもう一度、当時のことを思い出してみました。不思議とあの時、私たち事務局には不安感がありませんでした。それは、ギリシャ行のわずか数ヶ月前のこと。出会った佐藤さんの中に存在している大きな可能性を感じたからだと思います。何としてもやりぬく強い精神力、マキ子さんと仲間の皆さんが応援してくれる安心感、そしてアートを通じて何が出来るかを探究する心etc・・・全てを携えてギリシャへ向かった佐藤さんをどこまでも信じていたからです。その思いに間違いは ありませんでした。青い空の下、アマリアーダの海辺にその作品は完成しました。帰国後も何台もの「バス」を送りました。マキ子さんをはじめ皆様にとってはご苦労の連続だったことと思います。それでも『EU・ジャパンフェストの「バス」に乗って良かった!』と言ってくださいました。この言葉を聞いて、今度は嬉しくて頬が熱くなりました。佐藤さんは、不慣れな海外での活動で頻発する様々なトラブルをモノともせず、大きな目的に向かって邁進したのでした。

EU・ジャパンフェストの活動は今年21年目を迎えました。これまでに各方面に多くの「バス」を送り出してきました。今では、その「バス」が私たちの前を素通りし地域間を行きかい、今回は佐藤さんが学生の皆さんへ「バス」を送りだしました。進む方向に間違いはないだろうか? 下車する者はないだろうか? 時間に間に合うだろうか? やり残した準備はないだろうか? きっといくつもの不安や心配を乗り越え、当日に至ったことと思います。本番で学生さんが見せた「何としても成功させる」その緊張感と責任感漂う眼差しや、反省会で発表された言葉の数々に大きな期待感を抱きました。 

今後も佐藤さんを軸とする感動を乗せた「バス」が相互を行きかい、さらにその輪が広がって沢山の人が感動に出会えることを心から願います。

そして、私たちもまた感動を乗せた「バス」を送りだし続けて参りたいと思います。