2017.10.14
感動を求めて
佐藤賢太郎 

10月13日、私の仕事場の付近に見知らぬ外国人がスマートホーンを片手に立っておりました。トラックに同乗していた古田さんが「あれは外国人ではないですか?」と言いました。我が家に来るウーファーが道を間違えているのかと、私も思いました。

車から降りて、あなたはどこから来たのというと、23歳の彼は「オーストラリア」と言います。そこで、どこに行くのかと聞いてみました。何と「飯豊(いいで)山に登る」と言います。豊実から行けないこともないが、登り口が違っているので、飯豊山の登り口まで私はトラックで案内しました。久々に行く登山口、重要文化財五十嵐家住宅のある小荒までは遠い道のりでした。 

聞けば一人で山に登ると言うから驚きです。しかも短パンの軽装備。私は「それでは寒くないかと」尋ねました。彼は腹が出ていて指をさして皮下脂肪があるから大丈夫と言うようでした。東京で5日滞在して、新潟市で2日過ごし、飯豊山に3日かけて登ると言います。ともかく私には驚きです、無茶をするものだと思いました。 

我が家に来るウーファーよりすごい冒険家です。彼は人相もとてもいいと感じましたので、「よろしかったら帰りに我が家に寄ってください」と誘ってみました。我が家に来たウーファーの写真を見せ、「我が家の手伝いをしたら無料で泊めてあげます」と言いました。 

私がウーフホストをしていなければ、外国人に声を掛けることもなく彼は万治峠から登ったでしょう。誰も知らない国で、しかも一人で、軽装備で山に登るというのです。

私には共感するものがありました。才能がある無しに関わらず、夢を追って彫刻家の道に踏みこんだ自分だったからかもしれません。 

私ならとてもそんなことはしません。そこが外国人と日本人の違いでしょうか。彼はクマのような体で、「あなたは熊みたいと」言って、お互いに笑いました。彼は登山口に着くと千円札を私に差し出しました。私はいらないと言いましたが、お金を車に挟みました。

人生に賭ける、挑戦するところがすごいと思った。そういう人もいるのです。石橋を叩いて渡る日本人とは違います。里山アート展を開催し、空き家をリフォームして、こうした世界の人々とお会いしていることが実に楽しいのです。

そして私は、出会う人に「人生にとって何が幸福ですか?」と質問しています。