2010.02.18
個展の日々3
佐藤賢太郎

個展開催3日目、ギャラリートークを開催しました。この日が個展の一つのピークであろうと思っていた。最近は作家によるトークを画廊が勧めているそうですが、私は2回目の個展から、すでに新しい取り組み方としてやっておりました。以前は会場が美術画廊ではなかったので、髙島屋の別室をお借りして講演形式にしました。1回目は「人生後半が面白い」、そして2回目は「コスモ夢舞を語る」という対談形式で、東洋大学社会学の青木辰司教授に登場いただきました。

今回は美術画廊内でしたので、内容は「作品についての想い」と「もう一つの創作について」とした。オープニングでは、私の仲間のSさんとそのグループによる尺八を演奏していただいた。これは大変良かった。雪の上で演奏されていることをイメージしながら、私は聞いていた。仲間もこのような場で合奏することはなかったそうで、友人の特技と発表の場にもなった。           

そして豊実のコスモ夢舞台を語るなかで、仲間のMさんが書いて彫ってくださった‘十割そば’の看板も披露させていただいた。この立派な看板で、そばの値段が上がるかもしれないとジョークも入れました。すべて仲間による、それぞれの個性を生かした画廊での演出となった。個展は私だけの作品を見せる場ではない、この場をフルに生かした個展にしようと以前から私は約束していた。

さらにその会場に、大学の元学長の恩師が思いがけずご夫妻でおいでになった。とても嬉かった。そこで、私は落ちこぼれ学生でしたと話をしましたが、それを受けて先生は「佐藤さんは、ふきこぼれの卒業生である。私は佐藤さんを先生と呼びます」と挨拶され、会場にどっと笑いの渦がおこった。              
   
   さらに司会者のOさんは、自ら買った私の作品を持参して「私はこの作品を髙島屋で買いました」とその時の気持ちを話しました。画廊はすべて即興のトークショーの場になりました。こんな楽しいギャラリートークは、おそらく考えてもできないだろうと思った。