2010.02.27
個展の日々8
佐藤賢太郎

「個展の日々」の最終稿として、個展のあり方、今後の展望を述べたいと思います。

日本橋高島屋での個展は、過去3回は画廊ではなかった。4回目にしてはじめて画廊で開催できました。画廊での開催は、肩書きがある作家や売り上げが確実という作家というハードルがあるように思います。その意味では、実績がないと画廊での個展はできません。私は肩書きなどありませんから、今までの実績を認めていただいて開催にこぎつけたと思います。髙島屋画廊での開催は、何といっても、売り上げがあっての評価ということになるでしょう。芸術性が高いとか、評判が良かっただけでは成り立ちません。

 ところで今回は、過去3回の個展の半分にも満たない売上状況で、本来なら萎縮してしまいそうな結果でありました。原因はどこのデパートもが厳しい現状にしても、私の作品にもあったかもしれませんが、さまざまな要因があったと思います。

ところが今回の個展では、ギャラリートークをやりたいようにさせていただいた。もちろんこれは、応援してくれる信頼できる友人知人がいたからこそできたものです。
 その上、年をとってずうずうしくなったせいか、画廊の方にこれからの個展のあり方の提案もしました。

 それは例えば、新しいことに挑戦することの必要性であること。作家の生き方を示すような、そんな個展開催があってもいいのではないかとも提言した。もとより、作品がそれなりに説得力のあるものでなければならないことは言うまでもありません。

 作家はそれこそさまざまいるわけで、芸術院作家もいれば、私のような作家もいる。作家自身がこういう企画で個展を開催したいと提案する。それを受け入れ、企画を検討しながら決定する画廊があってこそ、新たな活気ある個展が生まれるのではないだろうか。

 私は、次回はこうしたいという夢の企画がすでに準備しました。作品は大作を含めてそれなりの規模とし、物語りあるテーマを持った一群をつくること。大作のための搬入はかなりの労力を必要としますが、作家の負担としてもぜひ実現してみたい。そして新しい作品をどこかに入れること。分かりやすい解説を加えること。作品を作る思いと、私の生き方を語ること、同時にコスモ夢舞台の仲間が発言する機会をつくること。ふるさとの風景も写真展示する。モニュメント写真も入れる。ギャラリートークも、個展会期中2回は実施してみたい。以上のような個展を企画しています。これが最後の髙島屋個展になっても夢を実現したいものです。

 最後になりましたが「個展の日々」をこんな形で連載したのは、今回が初めてです。それが実現できたのも、ホームページ上の掲載に尽力くださった応援団の存在があったからです。ありがとうございました。