2017.02.18
長靴とモノを大切に
佐藤賢太郎 

雪国には長靴は欠かせない履物です。とくに私は、冬場には仕事場まで歩いて行くので、寒さを防ぎ、彫刻の仕事をするために長靴は大切な履物です。 

日本の長靴のほとんどが安いメイドインチャイナです。歩いていると、かかとの一部だけが傷み、水がしみてくるのです。他の部分はほとんど傷まないのに、すぐその長靴は使い物にならなくなります。もっと、かかとが減らない丈夫な長靴を作ってほしいと思いました。もっとも、買い替えさせることが狙いでそうしているなら駄目かもしれません。昔は物を大切にして、修理して使ったものです。今日では使い捨ての時代になりました。それで、お金が早く動く時代になりました。 

傷んだ長靴を使えるようにするにはどうしたらよいか、そこで私が思いついたのが、かかとに接着剤を塗り、水の浸透を防ぐことです。これは後で人に聞いたことですが、そのための接着剤が販売されているとのことです。そんなこととは露知らず、私は自分で考えて発見していたのです。石と石を接着させる接着剤です。仕事で身近に使っている接着剤を使いました。 

日頃、三つの無駄を排すると学びますが、三つの無駄とは物の無駄、時の無駄、心の無駄です。長靴を修理して使うことは、まさに物の無駄をしないことです。すぐに新しい長靴を買うのではなく、捨てるものを工夫して、どこまで使えるようにするか、私はこれを発見するのが楽しいのです。これも創造です。アート作品の制作だけでなく、日常的にクリエーティブな思考が大切だと思います。 

こうして私は3足の長靴を修理しました。これを順番に使って春を待つのです。私のような人間ばかりではモノが売れず、会社は倒産に追い込まれるでしょうか。

今年も仕事場に集まる廃棄処分の資材を生かして、里山アート展の作品つくりの材料にしていきます。どんなアイディアで作品が生まれるか、皆様楽しみにしてください。