2018.11.24
焼き入れ
佐藤賢太郎

 体験学習にくる中学生が薪割をすると、マサカリの柄が抜けてしまうので、鉄の楔(くさび)が数多く必要になります。

生徒が薪割をしている時、わたしはマサカリ直しばかりしています。楔をつくろうと異形棒を真っ赤になったコークスに入れ、棒を赤くし、ノミで叩いて伸ばすことにした。そのついでに、かつて使ったノミを久しぶりに焼くことにしました。焼き入れをしたのは10年以上前かもしれません。今は超硬合金というものがあり、先端を削るだけです。しかしノミが折れたらすべて終わりです。今でも大きく削るためには鉄ノミを使います。

 私は愛知県岡崎市で彫刻家修行の時、初めてノミの焼き入れを学んだ。師匠鈴木政夫先生に言われました。「ノミ焼きを見れば、石のたたきが分かる」、そして「コークスを焚くときには一挙に火を強くしなければ燃えない」そんなことが思いだされます。

ちょっとしたところから、期せずして私の原点に返ることになりました。ノミの焼き入れの前には形成があります。新潟豊実は雨で寒いのに汗が出てきます。体調がいまいちの時、嬉しい限りです。

 これまで走るばかりでしたが、今は私も振り返る時なのか、そんな想いもしました。その一方で、現在進行形の対応が待っています。私は何とかこの難題を越えなければ年を越せません。