2010.03.16
手づくり味噌の体験ツアーを
森 紘一

 快晴、微風の好天に恵まれた15日(月)、お山の石夢工房前は手づくり味噌の公開実演広場となった。早朝5時半から、実行委員の大塚さんが火入れをした60キロの大豆を煮上げる大釜のあたりは、汗ばむほどの熱気だった。

 賢太郎さんのお母さんと地元の味噌づくり名人を中心に、女性陣はマキ子さん、荻原さん、郡山から駆けつけた大島さん、友人のTさん他、計9人。男手は、地元のYさんとOさん、喜多方のBさん、それに我われも加わって8人、総勢17名という賑やかさだった。

 3枚のコンパネとトラックの荷台にブルーシートを敷いた作業台では、煮あがった大豆を電動のミキサーで次々とミンチにしたペースト状の大豆がひろげられて、香ばしい湯気が漂っていた。

麹を入れて混ぜ合わせ、さらに塩を入れて揉み合わせ、小分けにしながら大きな盥に煮汁を足しながらさらに練り合わせて、最後はビニールを敷いたプラスチックのバケツにたたきつけるように収めていく(これは空気を抜く大切な工程だそうだ)。一連の熟練の技は、なかなかの力仕事に見えるが、今年は津川のYさんの音頭で歌声まで加わって楽しそうである。                           

 マキ子さんはノートを片手に、隆雄さんはビデオを廻しながら記録係を兼ねた作業参加だった。味噌づくりは地元文化の伝承であり、同時に‘村おこし’そのものでもある。昔は各家庭でつくったそうだが、今では豊実でも見かけないという。                
   誰言うとなく、春の風物詩として都会から体験参加できるツアーとして実施するのも面白いかもしれない、と盛り上がった。実行委員の大塚さんも、意欲満々の様子だった。

 一方、雪で傷んでしまった味噌蔵ならぬ保存の貯蔵庫は、大野さんの陣頭指揮、地元鹿瀬のOさんと喜多方のBさんの協力で改修工事が進み、工房からの出入り口もできあがった。その出来栄えは見事なものである。貯蔵庫に納まった大きなポリバケツ5個も、きっと安堵して熟成したまろやかなふる里の味を届けてくれることになるだろう。

 前夜は、ギリシャツアーに参加される福島湯川村のKさんも和彩館に見えていた。年明け初の豊実での祝杯は、旅の無事を祈ることにもなったわけだが、これで安心して我われも旅立つことができそうである。