2010.09.30
あなたは何が主ですか?
佐藤賢太郎

   阿賀町観光コンベンションの懇親会で、町役場のある職員から「佐藤さんは彫刻と地域おこしというか、今やっているような活動とどちらが主なのでしょうか?」と質問を受けた。
   私は「両方です」と答えました。「彫刻家が職業です。里山アート展や地域おこしは一円の収入にもなりません。

   しかし、なぜか体が動いて懸命になってしまいます。自分で言うのも変ですが、特に今年は異常です。異常とは常ならずということです」と答えました。

作家は、そもそも収入を得るためにという事で活動をしているのではないはずですが、そんなきれい事では生きていけません。霞を食べて生きては行けないのです。しかしながら、大方は純粋に収入のことを考えないで、一生懸命に取り組んでいくことは難しいと言うでしょう。
   
   私はギリシャで彫刻の作品を作っていたときも、一円も収入はありませんでした。しかしあのような時間を与えられたことは、私の人生にとってとても幸せなことでした。 

それと同じように、今年の里山アート展は一ヶ月以上それにかかりきっている。その合間に、次の展覧会の作品を作っています。   
   
   今までの自分の作品から脱皮することはそんなに簡単ではありませんが、葛藤はありながら、つかの間の時間に自分の新しい作品を作ることが実に楽しく充実しています。

里山アート展も動きながら新しいものが生まれて来ました。石舞台、そして橋つくり、さらにシーソー。ビオトープの生き物を覗く万華鏡も登場しました。来年はブランコをつくります。きっと今までにない風が吹くでしょう。全てアートとして、そこに収める企画です。

   アートは鑑賞するだけではない。ここに来たら、自然の空気を吸い童心に返る、そんなアート展に変貌しています。いろいろな方が参加し協力してくれて、自分が予想していない仕上がりになってきました。そしてどんどんイメージが膨らんできます。

 こんな作品つくりに汗を流せるのも幸せです。しかし明日の生活は解らないというオマケが付いています。個展の作品発表は収入になるかもしれませんが、この活動はどんなに一生懸命に取り組んでも収入はありません。得るものはお金ではなくて、夢の実現や人と人のつながり、生きることの感動でしょう。元気で生きる時間は限られるように感じるこの頃です。