2008.07.07
ある作家からのメッセ−ジ

佐藤さんの活動に対する、熱い想いを綴った文を有難うございました。
日々生きるということを、そのままこの活動に投じていらっしゃる佐藤さんと佐藤さんをめぐる方々に、敬意を払いたいと思います。

 また古木さんも初めてお会いした時から、そのアートに対する姿勢に、こちらが思わず背筋を伸ばしてしまうような気概を感じました。今回の「第5回EU・ジャパンフェストを終えて」にも心を打たれます。

迷いながらもこの歳までアートに関わってきた私ですが、アートとは何であるのかをはっきりとは捉える事が出来ないもどかしさに呻吟しています。

思うに、我われ現代人は余りに観念が先行する時代に生きているのですね。
数年前、紛争に明け暮れた後のセルビアの難民キャンプでワークショップをしました。
その時にある詩人がいった言葉が忘れられません。「アートは日常的な観念としてではなく、感覚に直接訴えかける力を持っている。」

今回オーストラリアで、わずかではありましたが、原住民アボリジニのアートに触れる事ができました。(白人政府によるアボリジニ政策の為のプログラム以前のものです。)
そして帰国してから新国立美術館でのエミリー展を観て、衝撃を受けました。(これはオーストラリア政府のアボリジニ政策プログラムにより始められ、エミリーはその中のひとりです。)
アボリジニがもともとの生活の中の必要性から描いたものではないとはいえ、(キャンバスにアクリル絵の具)80数歳で亡くなるまでの10年足らずで、3000もの(確かそうだったと思います)作品を残したこの老女。
白人による迫害の歴史の中で、それでも守り続けてきた精神が堰を切ったようにキャンバスに出現し、かつ変貌して行ったのでしょう。
してみれば深く大地と結びついていた故のこと。

私はふと佐藤さんのことを思い出しました。
原初、芸術は大地との結びつきの中から、生まれたのではないかと。