2007.10.12
日陰ものたち

掃除も草刈も奇麗になるほど、もっともっとという気持ちになるから不思議である。
里山アート展の開催までに、後2日となったが全ての草刈を終らせるのは不可能である。
それにしても、できるだけのことはやろうと思って、桃源の小径を通って紅い橋を潜り抜ける辺りの日陰の草刈をしようと試みたが、竹やぶや木の小枝があって文字通り歯が立たない。
またしても、お助けマンFさんの所へ駆け込み、歯を研いでもらいながら、やり方を教わる。

一新した歯は切れ味も鋭く、作業も楽である。勢い付いて進んでいたところで、ふとアジサイらしき赤紫色の花が一輪咲いているのが目に留まった。まさに“藪から棒”ならぬ“藪からアジサイ”である。蜂はとっくにご存知らしくしっかりと最後の蜜運びに余念がない。
和彩館に戻り図鑑を調べてみる。「タマアジサイ」というらしい。花期は梅雨時ではなく、7〜9月というからそれほどの異変でもなさそうだ。
周りを見れば、群生していた様子がある。根元から刈らずに残したので来年も見られるはずだが、ここまで手入れが間にあうかどうか疑問である。ともあれ、来年のために記録だけは残しておくことにする。

さらに、作業を続けていると、先日、Tさんが持ってきてくれた長芋(山芋)のジュニア、「ムカゴ」が見つかった。
油で素揚げにすると、それだけで酒の肴に持って来いの美味である。
今までは、邪魔なつる草とばかり思っていたが、現金なもので自分にとって利があると思えば目に入ってくる。しかし、これも天からの頂き物と思えば感謝しかない。

もう1つ気になる玉状の植物がある。今にも奇麗な花が咲きそうなのだが、長いことこのままの状態である。
物知りのTさん、Fさんにも聞いていないし、図鑑にも見当たらないので名前がまだ、分らない。

最後の溝掃除をしていると多分保護色だと思うのだが、黒いカエルが大小2匹出てきた。春には田んぼ一面が黒くなるほどいたオタマの生き残りかと思えば、選び残された尊い生命である。
大自然とは不思議なもので、日陰にもこうしていろいろな植物や動物たちが息づいている。(御沓一敏)