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2017315
佐藤賢太郎と小宮 和巳さんとの対談(15)
NPO事務処理などを担う方

 佐藤:コスモ夢舞台会員になったのは、森紘一さんと同じ大学であったのがきっかけだと思います。県内の私立高校の事務長をされていた時と思いますが、私は小宮さんから講演を依頼されました。それからの付き合いだと思います。

小宮:私がコスモ夢舞台会員となったきっかけは、森紘一さんから誘われたのですが、最初の出会いは、先ほどお話のあった研修会の2か月前に和彩館で開催された座談会に出席させていただいた時だったと思います。このような会に出席することは躊躇がありましたが、会の活動を知る良い機会かと思い参加したように思います。

ここで皆さんの話に感銘を受け、興味をそそられました。そこで丁度、講師を捜していた県内私学高等学校の事務職研修会に佐藤さんを推薦し、講演していただくことになりました。

佐藤:そうでしたか。印象に残っているのは、埼玉県の行田市役所を訪問したときのことです。その時、新幹線の車中で自分の使命といったことを話されていたと思います。

小宮:あの時は第2の職場も退職し、その後の生活の仕方といいますか在り様について考えていることを話したように思います。一日の全ての時間を自分の好きなように使える中で、今までやりたくてもできなかったのだから、趣味や旅行など好きなことや楽しいことをだけをして過ごせばよいのではないかという仲間も多くいたのです。しかし、それだけでは退屈したり飽きてしまうのではないか、今まで培ってきたものを少しでも社会の役立つものに生かしながら自分自身も生き生きと暮らしたいと思いました。そんな時にコスモ夢舞台に出会い、自分自身も楽しみながらいろいろお手伝いできる役割があるように感じました。そんなことを話したように記憶しています。

佐藤:そうでした。退職後をどう過ごすか、大切だと思います。小宮さんの考えを嬉しく思います。ところで、蛍の川底さらいや草刈など懸命にしている小宮さんを見ていると、いたましいと思ったくらいでした。限界まで動いていたことも印象的でした。どんな心境でした?

小宮:自分自身そんなに無理をして動いるとは思っていないのですが、性分として何事にも中途半端に適当にやるということができないように思います。

佐藤:ギリシャ、フランスに同行しましたが、ハプニングが起きて、大変でしたね。聞くところによると、団体行動であり、ゆっくりしている場合ではないと、団長の大塚さんに叱られた(?)たそうですが、フランスの思い出を話してください。

小宮:初めてのヨーロッパでいろいろありましたが、今になれば、どれも本当に良い経験でした。最初のハプニングはギリシャ空港で受け取ることになっていた成田空港で預けたトランクが、一行9人中6名分が届かなかったことです。他の人のものは全て翌日届きましたが、私のものだけその翌日になりました。ホテルからの連絡はなく、二日目の朝食を食べているとき同行の方から、「小宮さんのトランクがフロントにあったよ」言われ、初めて届いていることを知りました。それから急いで荷物を受理して時間のなかった中、改めて着替え等エーゲ海クルージングに出掛ける準備をしたのですが、焦る気持ちもあってなかなか思うようにいかず、皆さんが乗って待っている港行きのバスを待たせてご迷惑をお掛けしてしまいました。今でも思い出しては後悔しています。また、モントロンでは、近道と考えて広大な牧場の柵越えをしたりして横切ったのですが、思いのほか時間がかかり、心配をおかけしたこと。シャトウ(イベント会場の主要建物)でトイレが壊れていて施錠するときには気が付かなかったのですが、開けようとしたらノブがなく中から開けようとしても開けられない。トイレの仕切りは、3メートル程と高く、人の出入りもほとんどないところで助けも求められず、携帯電話も通じない。途方にくれました。暫く思案しましたが、便器の脇に水道の蛇口がありましたので、それらを利用して乗り越えようと思いつき、やっと脱出できたのも忘れられない思い出です。また、ドゴール空港で、日本に送るのに重過ぎるということでいただいた石像の大きな破片をトランクに詰めて手荷物検査を受けたところパスしない。女性の検査官が何か頻りに説明しているが、私の語学力では到底理解できない。その中で「ウエート」という単語だけがどうにか聞き取れたので、「ウエート、オーバー」を聞き返したところ頷いた。ほっとして検査カウンターの前でトランクを開け、2つの石を取り出し、それを持ち込み手荷物にしたことなど話が尽きないほどいろいろありました。今になればみんな楽しく懐かしい思い出です。

佐藤:本当にトラブル続きでしたね。それが思い出になりましたね。JTBの旅行では、そんなトラブルは添乗員がるので心配ないですね。

ところで、ギリシャに行った目的の一つは私の作品を見ることだったと思いますが、ギリシャでの感想はどうでしたか? 行った人でないと分からないこともありますが、どうでしょう。

小宮:日本から遠く離れたギリシャで佐藤さんの新しい作品を直接見たときは何とも言えない感慨が湧きあがりました。そして、その台座に自分の名前が刻されているのを発見したときは嬉しく感じました。

 今まで書物や写真等でしか知ることのできなかった、世界でも名高いアクロポリス、オリンピア、ミケーネなどの遺跡の現地を訪れることができたことは感激でした。

これらの遺跡を含め、生活、学問、文化等現代文明を担うほとんどの基層部分をギリシャが創造したのだから、破産寸前の我が国を各国が支援することは当然。我が国はオリンピック開催のようにやるときにはやると公然と言い放つ、ギリシャ人のプライドの高さには感心するやら呆れてしまった。

また、私たちが、訪れ、通ったギリシャの各地域は、産業といえば観光と農業しかないように思われ、工業地帯と見える地域はお目にかからなかった。これでは産業の停滞もむべなるかな、と妙に納得したことを記憶しています。

佐藤:何と言っても新潟県で事務処理できる方は小宮さんしかいません。私は事務員を雇いたいところです。ものすごく忙しいです。その点、新潟県内の助成金や講演会、マスコミなどへの連絡をしていただき、その処理報告書を作成していただいていますが本当に助かります。

小宮:長年やっていた業務と大して変わりありませんので、楽しみながらやっています。ただ、私は経理マンでなく、加えて役所は単式簿記なので、複式簿記の対応には戸惑いました。

佐藤:助成制度がないとコスモ夢舞台やって行けない現状です。しかし小宮さんは県庁に勤めていたこともあり、私に比べ慎重すぎるとはじめのうちは感じていました。強引さがないとできないと思ったこともありました。

小宮:行政は建前の世界です。全て事務が理論的に整理され制度化されています。筋が悪い、論理的説明できないもの、ゴリ押し等は相手にされません。きちんと論理的に説明しきることが重要です。一旦疑念を抱かれると以後烙印押され、どんなに素晴らしい立派なことを言っても色眼鏡で見られるなど後遺症を残します。

佐藤:NPOファンドの助成申請があり一緒に行きました。皆さんの前で今の活動を言いまして、ありがたく周遊認可が下りました。2回目は駄目でしょという小宮さんの言葉にやるだけやりましょうと言って、また申請してこれまた通りました。

小宮:あの時のお話は、当初認められた予算では計画通り整備できないから再度申請したいとのことだったので、同じものを予算が足りなくなったからという理由でもう一度申請しても採択されるのは難しいというようなこと話したように記憶しています。そこで、1回目の申請内容になかった障害者や高齢者等が車椅子でも通行できるよう周遊舗装道路とそのための駐車場を新設して、誰もが楽しく触れ合うことのできる田んぼ夢舞台公園として整備するという新しいコンセプトをつくり、このことにより施設が格段に充実し一層利用・存在価値の高いものになることを訴えたことが評価され採択されたと思います。

佐藤:NPO法人としての経理を東京のある会計事務所の好意に甘え、3年ほど助力いただきました。しかし以後、そちらで処理していただいた方がよいということになりました。これには困りました。見てもさっぱりわからない経理の処理でした。それを小宮さんが引き受けてくださることになり、そこでさまざまな問題点が解るようになりました。小宮さんしかできない仕事です。NPO法人コスモ夢舞台の存続を支えて頂いています。

小宮:自分でできるところは、これからもできるだけ頑張って続けていきたいと思っています。

佐藤:コスモ夢舞台維持には建設など労働力は第一ですが、事務処理なしには成り立ちません。それをこなしてくださる小宮さんに感謝申しあげます。そのほかイベント開催、教育、農業、食、物産開発、ホームページ掲載。今新潟県で地域つくりにコスモ夢舞台が第一に推薦されています。それだけでも凄いことだと言っていましたが、元県庁に勤めていた小宮さんからの言葉でまとめてください。

小宮:全国表彰を受賞できれば素晴らしいことですが、県から地域つくりの県の代表と推薦されること自体、コスモ夢舞台の活動実績が高く評価されていると誇っていいのではないかと思います。

高齢化の著しいこの地域にとって、スコップボランティアなどの取り組みは高齢者世帯の手助けになるだけでなく、コスモ夢舞台に新風を吹き込むための新しい切り口ではないかと期待しています。今までの実績に加え、このような直接的に地域の生活に役立ついろいろな取り組みを取り込んで、組み合わせながら更に活動を推進していけたら素晴らしいと思っています。  

佐藤:味噌つくりに、毎年参加されますがどうしてですか?

小宮:コスモ夢舞台のイベントにはできるだけ参加しようと思っていますが、特に味噌つくりだから参加しているという意識はありません。強いて言えば子供の頃、毎年小千谷の実家で豊実と同じ方法で味噌つくりをしていたことに対する郷愁があるかもしれません。また、この時期は年度末の多忙期で遠い関東在住の皆さんの参加者が少ないだろうから、せめて県内に住んでいるのだから参加しようという気持ちがどこかにあると思います。