2015.07.23
A君のこと2
佐藤賢太郎

 「桃源の湯」に入り、この贅沢に体で感動しA君であった。その後、風呂場そばの工房で、ハンガーを素材に作りかけの、今年の里山アート展に出品予定の作品の一つを見せた。

「あなたは高校時代成績が良くて、推薦で新潟大学の医学部に入学したようだが、それは左脳がよく働いて、記憶力が良いのだと思う。しかし右脳の働きは眠っている状態かも知れない。ハンガーでこのように思いつく発想は、右脳が働くから作れるのだと思う。作品つくりを手伝うことで、体感するチャンスが得られるかもしれない」と私は言った。

 彼は若いが、はしごに登ることも、作業することも難しいように思えた。その後、チエーンソーも使わせ、薪伐りの体験や薪割りも訓練した。訓練しないと中学生の女の子より劣る。全てやればできるのだが、その能力も今は停止状態であることも解った。

A君は磨けばもっと輝ける人間になれる。彼の素晴らしさは飲み込みも良いが、素直であり、行動することである。私のところに来るという行動、一歩行動することはわずか一歩であっても、動かない人に比べて、そこには千歩の差がうまれる。

 臨機応変とは作品を作るだけでなく、例えば中学生、一般社会人に対して何を話すか、それも瞬時に決め行動することだとも言った。そのバランスがとれるかどうか、豊実での体験はそれを学べる機会だと思う。