2012.05.11
農村体験1
佐藤賢太郎

5月、今年初めての体験学習の受け入れをしました。毎回、事前に泊まる生徒たちの指導に当たって病気やその他素行を知らされます。今回の受け入れは素行態度が良くないというのではないが、難儀すると思いました。正直申しまして、無口で話したがらない生徒がどうして我が家にと一瞬思ってしまいました。しかし、すべてを受け入れ、こちらが変わればいいと思い直した。

教師時代の私を知る人には信じがたいでしょうが、今の私は硬派であろうが軟派であろうが、生徒それぞれに対応を変えることができるようになった。

さて、彼らと一緒に母の実家に行き、薪の運搬作業が始まった。無口である。聞かれたこと以外には答えない。生徒同士でも会話がない二人である。時折私は問いかけながら、ゆっくりした動作でトラックに薪を積んでいた。休憩時間にもあまり会話をしない。積み下ろしも大変であるが、それを教えたように黙々とこなした。

専属のカメラマンの前ではこわばった顔なのに、不思議なことに作業の時は微笑みがみられる。終わってみれば、よくぞできたと感心した。こちらが相手を理解し、ゆったりすればいいのである。彼らにも、やり終えた達成感が芽生えてきたようである。

午後はビオトープつくりの歩道の材料集め。たまたま和彩館に、お客として鉄道管理会社の方が見えた。その方に駅前にある枕木を頂けないかと尋ねたところ許可をいただいた。午後は、その枕木を運搬する作業にした。枕木は重く一本100キロはあるのだろうか。それをトラックに乗せる作業である。彼らと家内と一生懸命トラックに積んだ。道具としてトビも使った。生徒の一人にも使わせた。そのうち

、無口な生徒が「面白い」と笑顔が見られるようになった。二人とも仕事が面白いという満足感があったようである。

私は普通学級の子供たちより無駄口を言わないし、素直に一生懸命作業する姿勢を大いに褒めてやった。部屋は綺麗に使っていて朝の掃除はとても助かった。何よりも、彼らに自信を持たせることが大切であると思った。こちらの指導いかんで、彼らの持ち味を充分生かすことができる。これは生徒だけでなく、大人の世界でも同じではないか、いや仲間内にも通用することではないかと思った。

体験学習は受け入れる私たちが勉強する機会でもある。