2012.05.28
農村体験2
佐藤賢太郎

横須賀市から我が家に農家体験旅行として4人の女子生徒が滞在することになった。家内は豊実に来る道すがら、彼女たちが自然の美しさに感嘆の言葉を出していたと喜んでいた。私たちは人間として感性があるということは、間違いなく張り合いのある生徒たちであると思っている。

さて、田舎体験することになった。22日私は青森の視察に行っていた。午後、家内はそば打ちを体験させた。夜9時過ぎ、フランソアさんと共に帰宅して、彼女たちと初対面の挨拶となった。フランス人が来ることになっていると伝えてあったが、生徒たちにも珍しさで新鮮な期待があったのだろう。お互いに、こんな機会はめったにない。

翌日、草集めと田植えをすることにした。ごく普通の子供たちであったが、ともかく返事がはっきりしない。これはおしなべてどこでも同じであろう。しかし、私の運転する車に乗るとき彼女たちは「お願いします」と、小さいながら感じの良い挨拶があった。

午後は柴集め、そして電気チエーンソーを使って薪を切ることにした。私は「これはとても危険だから、電気チエーンソーにスイッチを入れる時は必ず声を掛け合うこと、わかったね」「返事がないけれど、返事はこういう時にとても大切なこと。声をかけないと大怪我をしてしまうよ」と、懇切に彼女たちに手取り足取り教えて作業をした。

作業は終わった。「よく頑張ったからアスレッチクコースに連れてゆこう」そういうと歓声があった。危険な道、そしてロープを使って谷川に降り、また昇る。

このアスレッチクコースを彼女たちはものすごく喜んだ。自然そのもので危険があること、真剣勝負が必要であり、それを成し遂げたことで喜びを肌で感じたからです。言うまでもなく返事は良かった。人間感動すると素直になるものです。

さて、風呂に入る時間となった。何時までと言ったわけでないが5時に入り7時になっても帰ってこない。心配になって迎えに行くと、彼女たちはまだ風呂に入っていた。「もう上がりなさい。いつまで入っているのだ」と不機嫌に言った。それを察して「すみません」と返事があった。

私が「夕食を一緒にしたくない」というと、家内は「そんなことを言わないで」と言う。しかし、家内は彼女たちに「遅くなって心配したのよ。お祖母ちゃんは待てず先にご飯を食べたよ。みんなここにいる時は家族なんだから、それを考えなければだめよ」そう言うと、そろってすみませんと言っていたそうです。

お蔭で夕食は和やかな雰囲気となって終わった。そして食器をいつものように洗っていた。

翌日はチエーンソーで、少し薪を切った。

お別れ式で彼女たちは感動の言葉を伝えたという。優しさと厳しさに感動したようである。色紙にもその言葉が書いてあった。優しさだけでは感動はない。このことから教育の喜びを私たちは感じた。 

その夜、生徒の一人から「只今帰りました。ありがとうございました」「娘がとっても楽しかったと話しています。今度は家族で行きたいです」と、母親も電話に出てくださった。