2007.05.21~22
体験学習・O中学校  

ここには、いろいろのタイプの生徒たちがやって来る。しかし、例えどのような子供が来ようとも受け入れ側としては短時間のうちにその子の良いところを見つけようと心がけているし、大自然をバックにして汗を流せば人間本来の素直な姿に戻れると常々おもっている。

21日午後2時過ぎ、神奈川県よりO中学校の男子生徒4人が1泊2日の予定で訪れた。全員野球部というだけあって、しっかりと挨拶もできるし、礼儀正しく引き締まった素直そうな表情の生徒たちを見て、感心した。

着替えた後、早速、河原に行き、大木を適当な長さに切ったものを運び出す作業を一緒にやる。任せても大丈夫と思ったので最初から、運搬機の操作を自分たちでやらせて見ると交代で喜んでやっていた。

重い木の揚げ降しの時が一番危ないので、大きな声を出し、お互いが確認しあって作業を進めるように話すと、素直に耳を傾けてくれた。トラックで2回運んだが、よくやったと大人も驚くほどの量である。

ボイラーのお湯は既に沸いていたが、何事も体験と思って、薪くべと風呂掃除をしてもらう。火を見ると誰もが暖かな気持ちになる。食事も和やかで活気があったが、あれほど運動したのに何故と思うほど食が細い。これは現代の子供たちに共通のようだ。

食事の後、星を見たいというので石夢工房まで行く。帰りは自分たちで歩いてもらう。真っ暗闇が怖くて、皆で手をつないで帰ったというからまだまだ幼さも残る少年たちである。

6時半スタートの朝仕事は佐藤家のお母さんと一緒に薪でご飯を炊く者と昼食時の準備のため炭に火を起こす組に分かれる。さらに、乾かしてあった桃の木の小枝を短く切って、焚きつけ用の薪つくりを全員で行う。昔と同じような生活を行うためにはいかに汗を流さなければならないかということを身にしみて感じたと思う。

朝食の後は、軽いウオーミングアップで山へ行き、ワラビとタラの芽を採る。いよいよ、本格的な薪割りである。パワーがあってもなかなかすぐに割れるわけではない。最初にコツを掴んだのは交流長と細腕のT君である。特にT君は枝別れの部分がある難しい木を何とか自力で割ろうと最後まで頑張る。非力なものが粘り強くやっている姿を見るとこちらも黙ってはいられない。最後は、諦めて楔を打ち込んで割ったが、達成感は十分だったはずだ。

昼食は、午前中に採った山菜を天ぷらとして揚げる組、囲炉裏の炭火で焼きそばを作る組に分かれる。はじめての体験であろう当然のことながら、手つきはおぼつかないがなんとか出来上がる。滔々と流れる阿賀野川の絶景を眺めながら食べられる運の良さを話しながら箸を取る。

一休憩の後、希望があったので、美術館と縄文館を案内する。縄文館では二人が爆睡状態。しかし、交流長、Y君が熱心に筆者の話を聴いてくれた。特に、Y君が目を輝かして聞いてくれたのにはこちらの方が感動した。

グロッキー状態の2人がもうやらないと投げ出すのではないかと思ったが、さりげなく、草刈に入る。さほど危険だとは思わなかったが、中学生でははじめての経験なので、念には念を入れて一人ずつに説明する。機械の操作というのは新鮮味があるのか、一斉に目を覚まして挑戦する。ここでも、手際よく、最初から最後まで休まずに頑張ったのが細身のT君というのが面白い。予定の場所を全てやり終えて、早目の夕食はカレ-ライスだ。初めてお代わりをする子が出て、マキ子さんもホッとする。

地元の人たちにもしっかりと挨拶をするので、いままで無関心であった人も側に来て子供たちと話をしている光景が見られた。こうした人間関係づくりこそ、もっとも大切な事と話して聞かせる。

既に、二組のお母さんと本人からお礼の電話が入っている。お世話をさせていただきスタッフ冥利に尽きる。他人さまのの噂に関係なく、自分の目でみて広く大きく見られる物差しをしっかりと持つべく、一層精進をしなけれと改めて思った体験学習である。(御沓一敏)