2013.09.01
体験学習の感想を読んで
大塚秀夫

 私の仕事は教師です。学校は子どもの「生きる力」を培う場と学習指導要領にはうたわれています。今の子どもは人としての礼儀も身につけていない。こちらが伝えようとしても彼らの心の中になかなか響いていかない。基本的な生活習慣が身についていないのが現状です。こどもの体験学習を通して、子供の生きる力を、ここまで引き出されることが驚きとショックでした。

 公教育に多くのお金を使いながら、なかなか、ここまでできないのに佐藤さんのところでの体験学習ではきちんと挨拶ができること。自分のことは自分でできること。そして人のことを考えて行動できることです。

なぜ、「子どもの生きる力」をこれほどまでに見事に引き出せるのか。

 最初、佐藤さんに出会った瞬間、体全体からエネルギーがあふれている佐藤さんを見て、「今日から力仕事をたくさんするのか」と思いました。

 炎天下の中で薪割を体験する。最初丸太が割れない子供たち。薪は生活するうえで必要なもの。薪がなければおふろにも入れない。生活をする、生きていく上に欠かせないのだ。

薪割はとても難しく改めて現代の生活になれてしまっていた自分を恥ずかしいと思いました。

中学生が現代の生活にどっぷりつかっていることを素直に克服している。この私もまさに例外ではありません。

 「ごちそうさまのことばにも、ご飯を作ってくれた人としてそれを育てた人に感謝をして言わなければならないから、適当に言ってはいけないと改めて心に響かせてくれました。」

「生活を通じて、学校では教えてくれない我慢の大切さ、そして自立についてお話をしていただけました。この薪割り作業にたくさんの意味が詰まっていてすごい」とも書いている。

現代は便利さを求めて、世の中なにから何まで便利になりました。何でもいつでも苦労せずに手に入れることに慣れてしまうと、我慢することも何かを達成することもできなくなってしまいます。

 植物は光と水と肥料が与えられれば、自分の力で育っていきます。大切なことは子供も自ら育つ条件を整えてやれる大人が必要です。

わずか、4日間の体験で豊実での体験学習は一生忘れない。佐藤さんのような大人になりたいと素直に子供が書いている。

佐藤さんをはじめとするマキ子さん、お母さんの佐藤家の人々は子供たちが自ら育つ条件を整えていることを確信した次第です。