2008.07.10
コスモ夢舞台塾13日目
佐藤賢太郎

この2週間塾生にとって言葉は通じても、まるで外国で暮らしているようなものだろう。自分のしたいことを選択する生活ではなく、こちらのカリキュラムに全てあわせるしかない。しかも生まれて、やったことのないことばかりの毎日であり、苦痛であっただろう。

しかし朝は霧が立ちこめる景色を見ながら朝仕事に行くとき、こんな風景見たことがないと一言もらす。朝の勉強、朝仕事、日中の薪運び、薪割り、草刈等々の労働、風呂焚き、洗濯。講師は老人から壮年まで幅広い。私と毎日一緒に風呂に入り、我が家の家族と暮らしてきた。

私はここまできて、塾生の長所や短所が鮮明になってきた。挨拶がいい、進んでとは言えないが、素直に従う。投げ出して帰ると一度も言わなかった。反面やればできるのに鍛える機会がなかった。やらないうちに全てに自信がなくなって、小さな自分の世界にこもってしまう事もあるのだろうと思った。逞しさ、耐えることを経験させることは大切なことだと思う。

短期間であったが、やればできるじゃないかと、実践を通して自信を持たせる、それがこちらの使命であろう。

しかし労働ができれば社会で通用するものでもない。相手との間合いを取れる、つまり人間関係がうまく行かないと自分の殻に閉じこもってしまうかもしれない。最近の言葉で言えば空気を読むと言うことだろうか。損得を考えて空気を読むのでなく、こうして欲しいのだろうか、と相手の心を察する、そして動く。これも黒板に書いて教えられるものではない、でもこれが大切であると思う。これは私たち誰にでも大切なことである。これらのことを短期間に訓練することがどれだけできただろうか。成果は長い時間が必要であろう、それを2週間でできるはずもないと思う、ただきっかけになることはある。塾生と私の根競べである。どちらがもうやめたと言うか。お互いに大変努力がいる。区切りとしてあと一日となった。

教育にしても何ににしても、知っていることと、実践は全然違うと言うことです。理想はこうだと語れてもそれは何もならない、実践してこそ言葉が生きてきて、人も動くことになるのだろうと確信する。