2012.09.02
稗刈りから
佐藤賢太郎

今年の夏は異常に暑い。そして無農薬米にこだわったため、我が家の田んぼは稗がいたるところにはびこっている。その稗刈りに追われている毎日である。家内は辛抱強く稗と戦っている。

田んぼに入って稗を刈っていると、イナゴやさまざまな虫たちがいる。そして、田んぼの上にはトンボの集団が飛んでいる。無農薬の田圃は人間にはとても厳しいものだが、生き物たちには天国なのです。

科学文明が発展してありとあらゆることに、人間に都合よくと生活パターンが変わってきた。それは自然から遊離してきたということだろう。集落で定期的に行う家屋周囲の消毒によって、キリギリスが本当に少なくなった。昔はキリギリスの鳴き声が夏の風物誌であった。しかし、今は聞けなくなった。たまに聞くと、ほっとする。我が家の周囲だけでも、消毒はしてほしくない。

田んぼの話に戻ります。無農薬米つくりは誰もが望むが、その米を作ることは厳しい。しかし、田んぼにはカエルやメダカまで生息するのです。

宇宙物理学者の池内了さんが「人間の幸福と科学」の中で地下資源文明(石油、天然ガス、ウランなど)から地上資源文明(太陽光、太陽熱、風、水、海水、地熱、植物、動物など)へと書いていた。「私たちの意識改革をすることである。いわば欲望制御への転換である。24時間営業のコンビニが並び、繁華街のネオンが一晩中煌々と輝いている。これほど、エネルギーを無駄使いしたことは人類史上かってなかった。異常であると感じる感覚を取り戻すべきであろう。福島の原発事故はわが国にとって大きな不幸であったが、我々はこれを単なる悲劇で終わらせず、地上資源文明への転換期としなければならない」と結んでいる。

私もこの意見に同調する。原発などもっての他である。そして、捨て場のない原発を子孫に残すことは反対である。

この猛暑も温暖化の影響とも言われている。それでも、発展途上国や先進国はまだまだ大丈夫と思っている。かけがいのない生命の生息できる地球は、やがて壊れる大きな異変が起こるかもしれない。そのためには、私たちの意識改革が必要である。

稗刈りはとても地味であり難儀な作業である。ともかく家内とふたりで、稗刈りをできるところまでやりぬこうと思う。

最後に、こうした考えのもとに里山アート展や田んぼ夢舞台公園があることをつけ加えたい。この考えに賛同する方によって、コスモ夢舞台は成り立つのである。