2009.09.10
進展するコスモ夢舞台4
佐藤賢太郎                  

3.食、ビオトープ、景観つくり

40年ぶりで故郷の地に立つと、そこに蛍は見られず、メダカやドジョウは田んぼにいない。かつての田んぼは、減反政策と作り手不足で葦が広がっていた。川岸は雑木が覆い、川は見えない。川の中州には柳の大木がはびこって、景観のよい川を塞いでいた。かつてのふるさとの原風景は見当たらなくなっていた。

故郷にふるさとの魅力が少なくなっている現状を見るにつけ、ふるさとの魅力を復活できたらとデザインを描いた。まず使われていない深い田んぼを池にして、メダカを飼い、スイレンを植えた。さらに、二つの深い田んぼには水芭蕉を植えた。山の冷たい水もこの3つの田んぼの池を流れて田んぼに入る頃には水温が上がる。

そして使われていない、荒れた草ぼうぼうの田んぼを掘り、ドジョウの池、カブトエビの池、メダカの川を作り始めた。そこに可憐な糸トンボがよってきた。山からの水があればこそ、できることである。ビオトープは、その環境を人間の手助けによってようやく守れるのだと実感する。ディズニーランドばかりが観光ではない。こうした小さな生き物を愛でることも、時には必要ではないかと思う。

経済的な活用ではないかもしれないが、田んぼの再利用である。無論、食としての米は作っているが、その田んぼにはメダカが生息している。付加価値のある水田である。食の安全が問われている今日だからこそ、価値があると思う。

また蛍が生息できるようにと小川をつくり、まだ数は少ないが蛍が蘇ってきた。忙しい時代にほんのひと時、ゆっくりする時間も必要であろう。

また、各家で作られていた手つくり味噌は、安全で旨いと分かっていても誰も作らなくなっていた。手間がかかるうえに家族が減ったからである。ここに味噌つくりの挑戦が始まった。都会からの人と地元の人びとの協力で実現した。この無添加味噌つくりも2年になり、いまや大好評でお土産の一番人気になってきた。これは誰にでも食べていただきたい特産品である。

農を守り、安心で安全な特産品を作る、ビオトープコスモ夢舞台つくりはまさに田舎の魅力であろう。