2009.06.01
田んぼ再発見への想い3
佐藤賢太郎

さて、先祖たちが山や沢を切り拓いて苦労辛酸して作った田んぼは、今や効率が悪いため杉林や原野と化している。この現実を目の当たりにして、私は何もしないのではもったいないと思った。何かに生かそう、活かせないか、そこで思いついたことは二点。

1.食の米を得る為に、苦労してこんなところまで田んぼにしていたという足跡を考え感じること。

2.その田んぼのかけらでも見えるようにして、一株でもイネを植えること。水芭蕉の植栽やクレソンや水生昆虫、その他の生き物の棲みかを作ること。

   既に田んぼの原型が見えるように仲間と切り拓いたが、これを実現することは易しいことではない。共感し、夢をもつ人がいないととてもできない。
   そこで、「アートオリエンテーリング」として田んぼ再発見する。また希望者には自由に自分の領地としてその田んぼを使ってもらうことにした。既にこの作業は始まった。水が少したまった田んぼのあるところにはトンボのヤゴがいた。そして、あるところには沢蟹が棲んでいた。これからどんな生物が棲むのだろう、そんな風景を見ることも楽しみなことである。
   
   「アートオリエンテーリング」とは里山アート展のアトラクションで、渡されたマップをもとにその場所を発見し、その場所にたどりついたらアート作品がもらえるという仕掛けである。しかもそれぞれの領地をどうするかは持ち主が考え、そこで持ち主がイメージをふくらませて見せ場を作ることになる。
   領地主は創造力をそこで発揮できる。ところによっては山菜が自生しているし、黒米を植えて収穫し、持ち帰ることもおもしろい。さらにそこで、音楽を奏で楽しむのもいいと思う。