2006.04.29
また、本物登場

今年、最も来訪者の多い日の最後を飾るのは、北海道から(神田生まれ)お見えになったというMさんである。昨年の秋にもお出でいただいたそうだが、失礼ながら記憶にない。
外資系のリゾートホテルにお勤めということだが、4,5月と10,11月は寒さのためにホテルが休業なので、この時期を利用して毎年、SLをカメラとビデオで撮影するために豊実へ20年間通っているというから驚く。

しかも、オートバイや乗用車を利用しての単なる追っかけではなく、SLに乗って季節の変化を楽しみながら往復するという。4〜5時間ある上り、下りのSL列車の待ち時間のすごし方が実に、優雅である。そのため一日に2回、東京その他で用事を済ませてから、また、豊実に戻ってくるというから都合4回しか写すチャンスがない。それなのに、なぜ同じ場所でとつい、思ってしまう。

Mさん曰く、景観はもちろん、急激な季節の移り変わりを一番感じるのが豊実なのだそうだ。
仮に、プロのカメラマンが写すのと同じ場所を教えてもらったとしても、プロ以上の写真は撮れない。それなら、自分しか見つけられない場所やチャンスを探すのだとのこと。
また、車で忙しくSLを追いかけて、もし、事故でも起こしたら、痛い思い出しか残りませんよねともおっしゃる。

今年は、5年ぶりに豊実駅前の枝垂れ桜と染井吉野が同時に咲いたという。そのビデオを見せていただいたが、それが何なのというか、すごいと感じるかで、生き方が変わってくるとさえ思った。
損得抜き、ビジネスではない自分だけのこだわり。「自分が喜んで働かなければ、人を喜ばすことはできない」という接客業の極意を語っていたが、コスモ夢舞台の精神と合い通じるものがあり、心底から共感しあえた。

滔滔亭で焚き火をしながら新潟行きの最終電車ぎりぎりの時間まで3人で話し込んでしまった。
佐藤賢太郎さんプロデユースで「外から見た豊実の良さ」(仮称)、あるいは「旅の楽しみ方」、「SLの写真撮影とは何か」など。気軽にしかも、本質をつく「シンポジウム」をMさんの秋の訪れの時期に合わせて開催しようという約束をして、和彩館を後にされた。(御沓一敏)