2011.10.29
自然との共生
佐藤賢太郎

「自然との共生」の大切さを誰もが語り、この言葉はよく使われるようになった。それはいいことである。このことについて、私の体験的実感を述べてみたい。

私は62歳で命に係わる病気と診断されて以来、食べ物にとても敏感になった。自然食を食べるということはすなわち、人間が自然と共生することを意味することである。

畑に野菜を作り、田んぼにコメを作る努力は、まさに自然との共生である。評論家は自然との循環の中で人間は生きているというが、はたしてどれだけ実感しているだろうか。

私は率直に言って、建前と本音の違いを感じることが多い。大震災後、経済優先から自然との共生を見直そうという報道は多いが、テレビ放映などまだまだバブルのような番組が多い。 

それはともかくとして、虫の食べた野菜は見てくれが悪いから売れない、虫ひとつつかない消毒を使った野菜を消費者は求める。つまり農薬を一部体に入れているということです。これなども建て前と本音のブレです。

今年、私は除草剤や殺虫剤を一切使わないで米を作った。昨年と比べ、5俵コメの収穫量が減った。草がはびこったことが原因の一つらしい。そして虫の食べた痕跡が例年になく米に出ていた。これでは市場では値打ちが下がり買ってくれない、と農家のある方は言った。農家の方も、本当はそれがより安全マークであることを知ってのことである。消費者の価値観がそうさせるのである。

コメもこのような価値を知っている方だけに食べていただければよいと思う。私たちは本音と建前のどちらを選択しているのか、自然との共生とはいえ、こんなところが現状であると思う。

自然の法則があって、人間は人間にふさわしい食をすることで健康になる。それを、私は命懸けの実験をして皆様に証明しているようなものだ。

ところで和彩館は、今年から予約の店にしている。昨日一組の予約が入っていた。普段は人が来ない店が、次々と予約のない方も来られ、断れないでどうしようかと家内は頭を使っていた。

我が家では玄米を食べている。調味料は昆布とシイタケ醤油と塩。塩は普通の16倍の値段がするミネラル豊富なものを使っている。醤油も同様である。そして、無農薬の野菜や肉魚を使わない食事がいかに人間に重要かを話した。「食と健康について」のトークである。 

お客様は、その話と食事をとても喜んで帰られた。数は少ないが、このように求める方がいることを実感している。

世界的に見ても節電の生き方が求められ、原子力発電や石油ばかりに頼らない生きい方が求められている。早寝早起きも自然との共生である。

私は郷里に戻り、生活環境が変わって忙しくなったが、こうして価値観を共有できる方と巡り合えることが楽しい。