2007.12.20
雪、薄化粧のある日

お客様も見えなくなったこの頃、地元の若者が会社を辞めて紙漉きをしたいと転職を決意したと訪れた。私としてはそういう方が出ることはうれしい事だ。実行するまでにはまだまだ課題が山積しているがこれから連携ができたらいいだろうと思った。

 そんな話しをしているところに2人の熟年女性が見えられた。ひとりは親戚の方、もう一人は会津若松で「そば」の店を開いている方をお連れした。

 その方は夫婦して教員をして退職金をつぎ込んで店を出したそうです。家内に話したそうですが、退職し何不自由なく贅沢な暮らしをしていたのですが、このままではだめになってしまう、そう感じられて店開きをされたそうです。その方いわく「だいたいの先生の退職後は海外旅行」だそうです。人生の充実を求めて人は歩くのだろう。それが何処にあるのか。紙漉きの若者も60から何をするのかを視野に選んだ道であろう。

 ところで私は今、人が来ない静かな田舎暮らしの中で、本を読む時間があるようになった。その本は奥会津書房の発刊する本である。縄文の響き、ごめんあそばせ、続々観音の風光、渓声山色をじっくり読んだがそれ以外の刊行本はなかなか読む気力が出てこなかった。余りにも地味な田舎の話であったから新鮮さが無かったと思う。

ところが今田舎に同化して行く自分の生活の中で田舎の原点を振り返ろうと読み始めた。文化シリーズは写真が綺麗で文章もとってもいい。消えてゆこうとする何もない田舎に本によって光を当て、価値あるものを付けている。そう感じた。奥会津書房の存在は素晴らしいと思った。今文化シリーズ5冊のうち4冊読み終えた。和彩館でも販売宣伝させていただいています。皆様もベストセラーばかりでなくこのような時代に、こんな本も読まれるのもいいと思います。(佐藤賢太郎)