2014.02.01
宇宙と般若心経
佐藤賢太郎

2014年1月、寒い冬のさなか滔滔亭の壁面に宇宙の絵を描き始め今日描き終えました。これは今年の里山アート展出品とします。振り返れば20代の大学時代、週に一度絵画教室に通い卒業してから通信教育で油絵を描いていた。しかし今回こんな大きなキャンバスに絵を描くのは生まれて初めての経験であった。画材はペンキ、フレスコ画材、アクリル、壁材用、そんな素材を混ぜながら使うことになった。みんな初めての事ばかりであった。初めは左官のように小手を使い、材料がなくなるとロラーでアクリルやペンキで下地を作ったが、地塗は簡単ではなかった。

宇宙空間をどのように表現するか、などなどの課題があった。

地球、太陽系、銀河系、大宇宙の絵はほぼ描き終えた。勿論まだ手を加えることになるでしょう。ここまでは決まっていたがあと一面、どのような絵を描くかきまりませんでした。

そんなとき思いついたのが般若心経でした。般若心経は宇宙的視野に立っていると聞いたことがあったからです。命が存在するには何一つかけても私たちは存在しないのである。太陽系のなかで私たちに生命が与えられているのは、地球がハビタブルゾーンという極めて特別な条件のもとに存在しているからであります。更に今の私があるのは、一人一人との人間関係があって、そして故郷の自然があったからです。これも特別の条件です。

宇宙と般若心経を検索すると、「私たちの命は束の間の命であり、その生まれてきた意味と理由はなんであろうかと、舎利子に聞いた。その人にしかできない役割を果たすために生まれてきたというのが答えです。役割とは、自分以外の人と人間以外の命のために何ができるか、あなたでなければできない役割を果たすこと。般若心経の中、もっとも言わんとしている一句が色即是空」だとありました。それは「あらゆるものは空である」と言う意味であります。例えば雲はいつまでも同じ形ではなく、やがて消えてゆき、消えたと思ったらまた生じます。つまり「空即是色」ですね。だから、「こだわりを捨てなさいと」説きます。それは宇宙の生成と同じあります。  

つまり般若心経が宇宙を見据えているということになり、私は般若心経をいれようと思いました。宇宙の絵を描くことがこんなところにたどり着くのです。

また日本に帰化したギリシャ生まれの小泉八雲は「我々自身の生命が、今眼に見えぬ過去の生命に支配される様に、疑いもなくわが地球の生命及び地球の属する太陽系統の生命も、無数の天体の幽霊に従って支配されている。」とも言っておりました。

ところで、私たちは縁あって特別な人間同士が集まり、数々の建物をリフォームしました。かつて汗を流した滔滔亭も上記のように新装いたしました。滔滔亭で宇宙的視点で未来を語り合いましょう。