2009.03.08
賢太郎さんの眼
森紘一

 リトアニア、オーストリア、ドイツなどの諸国から外国人写真家を迎えた賢太郎さんのおもてなしは、自らのギリシャでの貴重な体験が生かされていたようである。   
   彼らにむけられた眼差しと笑顔は、宇宙船地球丸の同乗者としてのあたたかいエールとして異邦人のハートをつかんでしまったようだ。とくに赤湯温泉と村人の歓迎会は、彼らにとって想定外のビッグサプライズとなったのではないだろうか。 

 それぞれの写真家の個性を見抜く眼力もまた、アーチストとしての賢太郎さんの面目躍如といったところのようだ。彼らの被写体選びやカメラアングルにまで眼を光らせる賢太郎さんの素顔を、彼らもプロの写真家として捉えたかったのではないだろうか。  
   あるいは新潟県も日本も超えて、コスモ夢舞台の住人として振る舞う賢太郎さん夫妻に一番焦点を合わせたかった、というのが彼らの本音に近い感想といったところだろうか。

 実に三度にわたって、村人とともに歓迎会を開催したということも特筆ものである。コスモ夢舞台の活動を少しでも理解してもらいたいという思いがあったとはいえ、突然の国際交流である。地域の人々も戸惑ったことだとおもう。
 はじめは、味噌つくりやお茶会で地域の人々の協力を得ながら、次第に地元の祭事や酒蔵の撮影へと広がるなかで、郷里に寄せる賢太郎さんの熱いおもいが徐々に周囲にも浸透していったようだ。 
   
   「今までは賢太郎さんとは距離があった。しかし今はこんなに近づけた。何でも言ってくれれば協力する」、という地元長老の言葉も印象に残る。賢太郎さんは「これも写真家の皆さんが、外国からお出でになったからだと感謝しています」と感想を述べている。

 今年のコスモ夢舞台は、前段に「ジャパン・トゥデイ」があったことで地元地域との友好関係が一段と深まったようだ。実にありがたいことである。(終り)