2009.08.05
エレルへイン少女合唱団来訪4
佐藤賢太郎

十数年間の「イベントには雨が降らない」というコスモ夢舞台のジンクスも、ついに破れたかのように午後も雨はやまなかった。雨合羽を着た少女合唱団は、開演間近の田んぼコンサート会場に歩いて移動し始めた。

午後5時前、エレルへイン少女合唱団40名プラス指揮者と大高さんは手作りのステージに上がった。5分前であったが開演することにして、私は開会の挨拶をした。「二度とないような素晴らしい夢の合唱団がおいでくださり、田んぼ公演が実現しました。エストニア友好協会、EUジャパンフェスト日本委員会のおかげさまです。どうぞ楽しんでください」。言いたかった事の半分も言えないまま開演となってしまった。

挨拶が終わると間もなく、歌が始まってしまった。なにしろ、ロイトメさんの即興で進行ペースが解からない。観衆は地元がほとんどですが、新潟、新発田、水原、村松、その他さまざまのところかおよそ150名は集まったようだ。新潟日報の記者も取材に来られた。

観衆は第一声から、その美しい歌声に感動し引き込まれていった。中には、まさかこんなに大勢の美少女合唱団とは思いもしなかった、と驚いた人もいたようである。

ロイトメさんと大高さんによって、舞台は進行されていった。エストニアの歌あり、カラスの鳴き声の歌あり、日本語の紀州の殿様や桜の歌があったりして、雨にもかかわらず、ロイトメさんの懸命な演出を駆使された指揮ぶりが印象深かった。ロイトメさんは観衆に英語で解かりますか、と話かけたりしたが、私を含めて解りにくいようであった。そこで、三島の五十嵐さん、大高さんの通訳が入った。観客はいつ拍手をして良いかタイミングも見つけられなかったが、「さくら」を歌っていただいたときコンサートは最高潮に達して鳥肌が立つようであった、とその後の感想で知った。改めて歌の力は、言葉の壁を越え友好関係を結ぶ良い手段であると思った。

一方観客席では、ザル籠もって集金に廻る陰の応援者梁田さんの姿もあった。ふくろう会の仲間はこのような役は苦手なかたがほとんどだが、これは彼が言い出してくださった提案であった。イベントを開催するにはさまざまな人々の協力が必要だが、この集金でおかず代は大分助かった。余談になりますが、杉並公会堂でのコンサートでは、ちなみに入場料は4000円から5000円である。それを田んぼステージでは無料にしました。一流の過疎に一流のコーラス合唱団来る、夢のようなことがここに実現したのです。合唱団も無料で出演してくださいました。本当にありえないことだったと思います。

盛り上がったコンサートのせいか、終わり頃にはすっかり雨も上がってしまいました。いつの間にかアンコールに応えたコーラスも終わり、彼女たちはステージから降り始めてしまった。御礼をいうタイミングをうしなったまま「ありがとうございました」、と私はマイクで終了を告げました。観客の皆さんは少女合唱団を畦道から国道側に惜しみない拍手で見送りながら、コンサートは幕を閉じました。そして、町役場職員の皆さんは素早くテントを撤去、仲間と村の有志は舞台の後片付けをしてくださいました。その後仲間たちは関東に帰り、夜遅く家路についたのであります。