2009.02.21
日本に向けられたヨーロッパ人の眼7
佐藤賢太郎

20日12時54分リトアニアの写真家アウツーラスさんとパートナーのエグレさんそして小寺さん(菊田さんとともにこのプロジェクトを推進されている)を豊実駅で迎えました。到着とともに蔵・銀河や滔滔亭を案内したら、早速アウツーラスさんは写真撮影に入りました。さらに、味噌つくりの準備はあいにくの雨でしたが、豆を水に浸す作業を撮影されました。その後、赤湯温泉に案内し、アウツーラスさんとともに湯船に入り「good?」と呼びかけたところニコニコしながらうなずきました。「体重はいくら?」と言ったつもりが42歳との返答で、その後ようやく体重100キロと会話が成り立ちました。その他少しずつ英語で話しかけますがなかなか通じません。私よりいいかもしれませんが英語は苦手のようでした。

さて翌21日、酒蔵を撮影したいとご希望の麒麟山酒造の撮影本番となりました。麒麟山酒造会長斉藤吉平さん自らのお出迎えに感謝し和室の応接間に入ると、早速会長を撮影されました。私も酒造会社に入るのは初めてでしたが、責任者の方が親切に1時間以上かけて案内してくださいました。こんな体験はめったにできないことですが、お土産まで頂きました。会長の温かい心使いに感謝するばかりでありました。

さて和彩館に戻って、私たちにとっては大きな催しである村の方をお招きしての歓迎会の準備に入りました。その様子をアウツーラスさんも撮影をされました。この日は、ふくろう会のメンバー大塚さんも遠路豊実に到着しました。               

エグレさんが、歓迎会をしてくださり何かお礼をしなければいけないのではないかと心配している、と小寺さんが通訳してくださいました。もちろん、私の勝手でやることだから結構です、と伝えていただきました。前々日から集落の全戸を回りお誘いしていましたが、夕刻5時三々五々と村の方が来場されました。今回は女性の方も参加され、前回以上の盛り上がりに嬉しい思いになりました。ふくろう会関東代表大塚さん、新潟県代表藤野さんも参加され、お陰様で盛り上がりに花を添えていただくことになりました。

私は開会に先立ち村の方への感謝とリトアニアの緯度等を説明し、その後、覚えた短い英語で開会の挨拶をしました。アウツーラスさんとエグレさんにも挨拶していただきました。アウツーラスさんは集合写真を撮られ、歓迎会は日本語とリトアニア語で乾杯を行いました。賑やかに進む中で集落の一人の方が、「どうやって豊実に来られたのか、リトアニアは豊実のように雪があるのか」とアウツーラスさんたちに質問しました。こうして、和やかなうちにもだんだんと盛り上がりました。

エグレさんは、「今まで外国を訪問して、こんなに歓迎されたのははじめての経験でとても嬉しい。日本に来て、温かいホームステイのようなところに来られたことに感謝しています」と笑顔で話された。一方アウツーラスさんの言葉は、「異国に来たのになんだか故郷にいるようだ」と小寺さんによって通訳されました。さらに、「佐藤さんは母国で彫刻をしている知り合いと同じような作品を制作し、同じように大勢の方を招いている。なんだか私の知人とオーバーラップしてしまう」ともいっていました。

宴会場では、若者や大塚さん、藤野さん、梁田さんが夜遅くまでお2人を囲み楽しんでいました。

さて翌日は味噌づくりのイベントがあり、私たちは6時に味噌の豆煮を始めました。その味噌つくり風景の撮影を予定されて、朝早くから張り切って新潟日報の新聞記者も来られました。村の方も4名参加され、大変にぎやかな味噌つくりとなりました。ともかく準備から後始末まで味噌つくりは苦労がつきまとう。果たして新聞に掲載されるだろうか? 通訳のできる小寺さんはここで帰ることになり、お別れしました。

午後2時、入浴風景を撮りたいとのことでリトアニアの方とわたしと3人で目的地の赤湯温泉に向かった。小寺さんの通訳がないので急に気楽な会話ができなくなったが、途中写真を撮りたいというので2箇所止めて撮影した。となりに大塚さんにでも乗ってもらえばよかったと思ったが仕方がない。また3年前のギリシャのことを思い出した。ようやく3時20分温泉に到着、既にオーナーの許可を得ていたので、即撮影となった。今回はどこへ行っても、撮影対象になる場面が多い毎日であった。                       

温泉から帰ると家内がそばうちをしていて、早速また撮影されました。「一箇所の地域で、こんなに多くの写真を取れることはラッキーだよ」と私は伝えた。夕食はもちろん、100パーセントの高級そば。新潟県の外に行ったら、こんなに美味しいそばは多分食べられないだろう。ビールも日本ではもっとも人気のあるアサヒスーパードライを出した。こうして仲間たちと、さらに盛り上がった。

アウツーラスさんは「友人から、日本にはナイフを磨くよい砥石があるので買ってきてほしいと頼まれた。教えてください」という。こんな会話がやっとのことで通じ、明日案内することになった。

大塚さんは、「素晴らしい場面に出会えて感動した」と感謝を述べて戻られた。藤野さんと梁田さんも、今度ドイツ人が来訪されたら私たちにも声を掛けてと催促されてお別れした。
   ともかく忙しい日々である。すべてが一期一会の思い出だった。

   残念なのは、歓迎会の盛り上がった様子を写した写真をパソコンに取り入れるときに間違って全て消してしまった。歓迎会の様子を見ていただけないことである。