2010.11.26
古参会員と語る1
佐藤賢太郎

ふくろう会がNPO法人コスモ夢舞台にまで発展してきたのは、言うまでもなくNPO創立以前の会員の皆様一人一人がいてくださってのことです。そうした中で、知恵と工夫、創造のモノつくり名人大野さんの存在がなかったらコスモ夢舞台は実現しなかったでしょう。勿論、助成金を頂いている現在、事務処理をしてくださる方がいなくてはコスモ夢舞台も成り立たないようになりました。

会員の高齢化が年々進む中、コスモ夢舞台が常に前進するためにと私の描くその意味することを感じ取って、72歳になる大野さんが体を張って物を作ってくださっています。大野さんの動く原動力は何か、それは自分が作ることが得意なだけでなく、私の夢を感じ取れるから動けると言います。

それはご本人が創造的な人間だからだと思います。さらに、大野さんは命じられることだけならやりたくない性格だそうです。自分がしたいことを私が受け入れてくれたから、ここまでやってこられたそうです。今年は7回豊実にお出でになったそうです。30有余年の間には、いろいろなことがありました。長い付き合いの仲間と先日しみじみ話し合いました。

私は例年になく体調が悪い日もあると言いますと、大野さんは「今までの仲間との集まりやNPO法人化になったことなど、いろいろと気を遣って疲れが溜まっているからではないかと思う」と言いました。猛暑の夏、石舞台つくりは本当に疲れました。大野さんとお互い肉体的、精神的に限界に近い状態でした。

自分ではそんなに気を遣っていないつもりですが、大野さんは「佐藤さんを傍で見ていると、一つひとつの対人関係の積み重ねが満杯で、知らないうち体に来ていると思うよ。体は正直なもので、俺も一年一年体力の衰えを感じている。こんな風に動けるのもあと2年だと思う」としみじみ私に語った。

さらに、「俺は佐藤さんから頼まれもしない時でも豊実にやってくる、それは自分にないものを佐藤さんがもっているからだ。そこで俺は動く力が出てくる。俺は佐藤さんより一つか二つは秀でるものがあるかもしれないが、いろいろと創造しバランスを取りながら一人ひとりをつないでいくような芸当は俺にはできない。そこに魅力がある。自分と同じなら魅力はない」と言ってくれました。そんな風にいってくれた年上の大野さんに感謝します。

以前から大野さんはアルコールが入ると「俺は建設しかできない人間ではない」と言っていた。大野さんは中学校を卒業すると左官会社に集団就職し、社会の底辺を味わってきた。体を張って、荒くれ男を相手に親方仕事もしてきた。だからこそ、大野さんはものごとや人の背中を感じ取る能力がある。

人間の能力は、学歴のあるなしとは関係ない。これだけははっきりしている。完璧な人間などいない。お互いに欠点もありながら、しかし大切なことをはずさないことによって信頼できる人間関係が成り立っていくようです。

NPO法人化に踏み切って、いろいろな個性ある人が参加して下さっていることはありがたいことです。いろいろと輝く個性を尊重しながら、しかし精神的理念として目指すことは曲げないつもりです。 

会員の年齢も高齢化し、変化してきました。新会員も増加している今だからこそ、その辺を語り合っていく必要性を感じています。

過去の思い出に生きるのではなく、人生を今に生きる、そこに価値を見出したいものです。