2011.06.20
信頼と疑い
森 紘一

 あれから3カ月が過ぎ、東日本大震災は我われに多くの教訓をもたらした。
なかでも、“地震と津波は天災だが、原発事故は人災”というフレーズは万人の語るところとなった。そこには、「それだけに許せない」という怒りがこもる。その矛先は東京電力であり、時の政府にむけられている。

今朝(6/20)の朝日新聞社説でも、「国民は一流、官僚は二流、政治家は三流だ」と上海の研究者が新聞に書いて話題になっていると紹介されている。タイトルは『政治家よ「三流」でいいの
か』と論調も厳しい。

 国の施策や行政の結果責任だけを云々するつもりはないが、放射能汚染や放射性廃棄物の処理問題は人類の抱える未来への大問題である。

何ごとも疑ってかからなければならないとは不幸なことである。日々の暮らしに安心と安全を求めることが叶わないとしたら、我われの人間社会は成り立たない。

たしかな真実を知り、対応策にも充分納得ができなければ、我われは動きもとれず、不安といらだちは募るばかりである。

HPに「震災と農業」を投稿された坂内さんは、命の糧を生産する農業従事者の実感として、その苦悩を赤裸々に語っている。

 一方で、被災地にむかう市民のボランティア活動は途切れることなく続いている。我われコスモ夢舞台の先頭に立つ佐藤さんも、マキ子さんともども再び日帰りで東松島、石巻へ支援物資を届けに出向いていただいたという。

 東松島の大江さんや菅原さん、石巻の高橋さんとは直接お話したことはないが、佐藤さんや仲間を通して、被災地の人びととの絆づくりができたことに我われも感謝している。そこには、信頼関係を大切にする和の精神がある。これは日本人に限らず、世界各国の善意の人びとに共通する助け合いの心である。

 コスモ夢舞台では、今回の震災を経て、真の豊かさとは何か、我われは何を大切にすべきなのか、これからの日本人のあるべき姿とは、といったフォーラムのテーマが挙がっている。

 この夏から秋にかけて、信頼の心と疑いの眼を忘れずに、ともにいく度か語り合う中で、新しい元気と勇気を創りだしていきたいものである。コスモ夢舞台の「感動ある人間交流、本物と向き合う、一人ひとりが輝く」というモットーそのままに、全員参加で前向きに歩いていきましょう。