2013.02.18
雪蛍の舞い
森 紘一 

 2月10日(日)、横浜はくもり空だった。風はさほどではないが、早朝6時前の冷気はさすように冷たい。仲間3人と、上越新幹線の大宮で合流した。 

雪の豊実への汽車の旅は何年振りだろうか。わげしょ(若い衆)の会と新潟大学Wホームの若者たちとのコラボで、「ふるさと雪蛍の舞2013」が行われるという。地元コスモ夢舞台の会員山口さんが事務局を務めるとあって、我われ関東方面の応援部隊(大塚、古田、渡辺、森)も駆けつけることとなった。

新潟から磐越西線で豊実に着いたのは11時前、雪は休みなく降り続いていた。里山アート展の会場一帯も絵に描いたような銀世界で、あの石畳みの畦道がどこにあるのかさえ、まるで見分けがつかない。 

若者たちはすでに、大きな二棟のカマクラをつくりはじめていた。その中に古山さんや豊市さんの笑顔も見ることができた。ほどなく、小宮さんも新潟市内からクルマで参加された。

豊実会館で「わげしょ」の会が用意したあたたかい昼食をいただいた。夕刻までには2千個の灯りを雪の田圃に並べ、一斉に着火して祝う予定だというが、各チームに分かれて雪合戦に興ずるという余裕の一幕もあった。コスモ夢舞台組も佐藤さんと参加したが、Wホームの若者チームに惜敗してしまった。 

山村先生に引率された30人近いWホームの学生たちと「わげしょ」の皆さんは、時に嬌声を上げながらも、吹雪くような寒空の中で黙々と作業を愉しんでいるように見えた。若い力は、羨ましくも頼もしい限りである。

辺りが薄暗くなるにつれて、本格的な吹雪となってきた。気が付くと、会場には総勢60名近い人垣ができていた。点火した雪灯りの下での合唱「ふるさと」は、幻想的な雪蛍の舞いによくマッチして心地良く響いた。

 豊実会館で再び心のこもった夕食をいただき、しばらく歓談することができた。「わげしょ」の会の皆さんも学生たちも、屈託のない明るい表情で「楽しかったです」「面白かった」「ご苦労さまでした」と交流が絶えなかった。

8時からという会場の後片付けに駆けつけてみると、すでに撤収作業は始まっていた。自家発電のサーチライトに照らし出された雪蛍の乱舞は、実に美しく壮大な眺めだった。

若者たちが、それぞれに掴んだものも想像以上に大きかったのではないだろうか。