2009.07.06
小さな再生(2)
御沓一敏

佐藤さんの石の彫刻の作品は別格として、コスモ夢舞台を訪れてくれた人のために何か記念になるようなグッズが欲しいねという話は、前々からあった。

豊実で身に付けたわずかな経験と智恵で作ってみたいと思ったのが「木の盛り皿」である。大胆とは思ったが、分らないときは、我らが棟梁大野さんに聞けば良いという最後の拠りが残されている。

最初は、里山アート展の作品プレートに使った残り板を磨き、バーナーで焼いて柿渋を塗ったがこの独特の臭いが消えるまで天日干しを繰り返し、大変な日数を費やしてしまった。苦労の割にはとても人前に出せるような代物はできなかった。

次に材料として考えたのが、桃源の湯の燃料として近隣から集まってくる杉の丸太材の切れ端である。量には事欠かないが板材にならないような節くれだった部分なので、立てに割くだけでも大変である。

プロが作る量産の丸い木製の所謂サラダボールといわれるものは良く見かけるが、筆者がねらいとしているような手作りの「木製の盛り皿」はインターネット上でもなかなか見当たらない、懲りずに探しているうちに、やっと一件見つけた。これがヒントになり一気に進展、やっとそれらしい形になった。

仕上げは、大野さんからいただいた臭いを抜いた柿渋を塗る。自分ではまあまあの出来映えとは思ったが、世の中に通用するかどうかは分らない。
   恐る恐る持って行って大野さんご夫妻に評価をしていただいたところ、「良いんじゃないの!」という言葉をいただいた。

量が出るとも思えないし、量産もできるわけではないが、燃やせば廃材の地元の杉の切れ端が活かされ、私自身が生かされれば、こんなありがたいことはない。小さな再生になればと夢は広がる。