2008.2.25
市民活動グループの見学と感想
森 紘一 

していく
 2月中旬、地元横浜でボランティア活動を続ける三つの団体をそれぞれに見学する機会がありました。豊実のコスモ夢舞台と考え合わせて、感想を報告いたします。

その1-NPO法人横浜シティガイド協会                                   
  2月14日(水)、JR関内駅からガイドを引き受けてくださったのは、協会の創立者で副会長のSさん。女性とは思えない早足で、駅前の市庁舎から横浜公園を抜け、日本大通り右手の旧外国人居留地から大さん橋をめぐって左手の横浜市開港記念会館まで、約1時間半のご案内は実に楽しかった。豊富な知識に裏付けられた穏やかな語り口と笑顔からは、150年前の開港当時の様子はもとより、みなと横浜が大好きでたまらないという喜びまで伝わってきた。

 ペリー来航当時の素晴らしいステンドグラスがはめ込まれた開港記念会館の会議室で、Sさんから1時間ほどお話を伺った。1992年(平成4年)の発足で、会員は現在89名。年間で1万人をガイドしているそうだ。当初からガイド料を有償にしたことで、ボランティア活動ではないのかと反発もあったが、市側の協力もあって、平成15年にNPO法人として登録。現在では、全国的なガイド協会のネットワーク展開(横浜、神戸、長崎、新潟、函館港の5都市)にひろがっているという。
  我われも、コスモ夢舞台の豊実での活動を全国に広げていくことは可能だと思う。その場合、キーワードは「里山アート展」に代表される、アートによる村おこし、まちおこしということになるだろうか。

同協会で作成しているガイドマップは会員が足でヒヤリングしたオリジナルで、点字のガイドマップも会員の発案だという。活動を継続していく上では、ワークショップなどを通して会員の意識を高めていくことも大切だという。ガイドする側とガイドを受ける側の‘たいらな関係’を強調されていた。これからの課題として、ボランティア活動に欠かせないホスピタリティ精神の養成を後継者の育成とともにあげていたのが印象に残った。
 コスモ夢舞台の対外的なサービス精神とは、さて何だろう? コスモ夢舞台のご案内にも‘おもてなしの心’は必要なことかもしれない。

その2-NPO法人鶴見川流域ネットワーキング                                    
   2月17日(日)、東横線綱島駅前から新横浜駅に近い鶴見川流域センターまで約7キロをNPO法人鶴見川流域ネットワーキングのK理事にご案内いただいた。                      

東京都町田市を源流とする鶴見川は、多摩丘陵を下って横浜市内、鶴見、川崎を蛇行して東京湾に流れ込む。その全長は、マラソンコースとほぼ同じ42.5キロ。バグのかたちによく似た鶴見川流域の面積は235㎢で、居住人口は184万人。                 
   川のごみ拾いからはじまったという活動歴18年のKさんの話には迫力があった。現在は、この上、中、下流域に39のボランティアグループの団体があり、エリア分担ごとにクリーンアップ作戦からはじまってさまざまなイベントカレンダーがつくられ、ほぼ毎週土日には楽しいイベントが目白押しだという。
 「コスモ夢舞台2008」のイベント日程表も、地元の人々の協力や地域活動団体との連携が多く含まれている。我われにとっても、地域住民との連帯は必須である。

 約2時間の流域ウオーキングでうっすらと汗をかいた後、国土省が管轄する鶴見川流域センターの会議室で、さらにKさんから活動の現状や問題点などを伺った。       

  活動を継続していく上では、ともかく自分が楽しみそして広げていくこと、その意味では子供の感性を大事にしていると主張された。これだけのイベント事業を展開されるにあたり、資金面ではかなりご苦労されているようだ。地域の人々の協力や行政、さらに企業や学校群とも連携や協働をくり返して実績つくりをはかっている姿には感心してしまう。トップダウン方式ではなく、下からあげていく合議制という運営方法も、ネットワーク組織を発展させていく秘訣だったようだ。
  コスモ夢舞台を継続発展させていくには県や芸術財団からの助成だけでなく、これからは有力企業からも支援を仰ぐことが必要になってくる。コスモ夢舞台のNPO法人化も具体的に検討をはじめる時期のようだ。

その3-新治市民の森愛護会                                    
  2月20日(水)、JR横浜線十日町駅から横浜市の北西部にある新治市民の森へは、徒歩で20分弱。笑顔で迎えてくれた新治市民の森愛護会の会長Nさんは、平成12年の開園と同時に愛護会を設立した発起人のひとりだそうだ。

 現在、会員は150人。毎月第一、第三土曜日と第二、第四日曜日に草刈や道づくり、森の手入れなどの活動をしているという。会員は60歳以上が大半(現役は2割程度)で、約70ヘクタールの自然林をボランティアの市民が守るという貴重な憩いの里山だった。

 森の中を1時間ほど散策後、暖かい日だまりの池渕広場の大きなデッキテーブルを囲んでNさんとしばし団欒した。会員は、もっと植物や生態系の知識を学んでほしいし、地元の地域住民とのコミュニケーションも大事にしてもらいたいが強制はできないとNさんは優しく語る。市から委託されているのは沿路の整備だけなので、里山を持つ6割の地権者の要望をできるだけ聞いているそうだ。ともかく森の自然が大好きな人ばかりで、ここへきて作業をするのが楽しくてしょうがない、といったほのぼのとした雰囲気が伝わってくる。

活動を続けていると自分たちが楽しむだけでなく、発達障害の子供たちが喜んで作業に参加してくれたり社会復帰できた人が現れたりと嬉しい話もあるが、これからはリーダーの養成が急務だと真剣な表情だった。森林インストラクターの資格を持つNさんだが、自然のままを生かす楽しさと難しさはそのまま人の問題にもつながっているようだった。     

最後に、「クヌギ、コナラ林やスギ、ヒノキの山林に谷戸が複雑に入り込むこの景観は貴重です。この宝物の素晴らしさやそこで遊ぶ楽しさを、子供たちの世代に何とか伝えたい」、と心情を吐露された。
  奥阿賀ネットワーキングとの「体験学習」を充実させていくことは、「農と食」とともに「教育」を考え続けている我われコスモ夢舞台にとっても大事なことだ。地域の文化や伝統を次世代へ継承ことは、我われ世代の共通テーマといえそうだ。