2010.05.06
必死の間伐作業
森紘一

5月4日(火)みどりの日 快晴

 みどりの日がいつから国民の祝日として制定されたのかは知らなかったが、きょうは一日中、仲間と一緒に杉林のなかにいた。御沓さんも9時過ぎには到着、昼過ぎには県職員のKさんも間伐作業に加わった。ここ二日の伐採で空間もめっきり広がり、杉林にも明るい陽射しが差し込むようになってきた。

公図を頼りに、佐藤さんと佐藤家所有の杉林の境界線を探り歩くという初体験も楽しかった。先人達の知恵と苦労の足跡を知る思いがした。 

午後からは、マキ子さんと荻原さんも林に入り、枝打ちされた小枝の清掃をはじめた。去年より逞しくなった子犬のチロも斜面を駆けまわって、まさに全員集合のにぎやかなみどりの日となった。夕暮れ前に、国道459号線側に伸びた20m近いクルミの木を倒してお仕舞いにしようということになった。

そこで、予期せぬアクシデントがおきた。3月にようやく光ファイバーのケーブル線が架設されたのだが、そのケーブル線に伐採するクルミの木がかからないようにと、木の上部に慎重にロープをかけて山側に引き手の5人はスタンバイした。その直後、チェンソーの佐藤さんがあと一ひきというところで、突然ロープがスルスルとほどけてしまったのだ。まさかの一瞬の出来事だった。

一歩間違えばケーブルの切断という絶体絶命のパニック状態の中で、しかし次の行動は異常なほど素早かった。梯子を国道側に下してクルミの木を下から支え、ロープを2本かかえた棟梁は梯子をスタスタと昇って、首の皮一枚で立つクルミの木の上部にとりつけてしまった。時間にすれば、それは数分の神業としか言いようがないすごさだった。

こんどは、引き手は二手に分かれ、左右のバランスで何とか山側へクルミの木を誘導した。「セイノー」の掛け声には、祈りがこもった。ゆっくりと大きくこちら側に倒れ込んだクルミの木に、我われもそのままへたり込んでしまった。           

「やったぁ!」言葉にならない全員のため息は、「よかったぁ!」という安堵感そのものだった。その後で、何かに守られているというような、ありがたいという感謝の気持ちが沸々と湧いてきた。13年間、事故なしの神話は生きていた。きょうは、思い出に残る「みどりの日」となった。