2008.06.28
コスモ夢舞台滞在記4
鈴木隆雄

佐藤賢太郎さんは、コスモ夢舞台をうごかす構想を絶えず考えている。アート・教育・環境・農業をトータルに融合させ実践することによって現代社会に一石を投じようとしている。そのために欠かすことの出来ないのは人・物(立地)・金である。会員諸兄はご存知のように、佐藤さんの実家には山・川・田圃・畑と自然環境に恵まれた地所を代々所有している。三十数名の会員が12年前から協力しあって馬取川のほとりに東屋「悠々亭」を始め、ギャラリー「ふくろう会館&アートギャラリー」、食事処「和菜館」、阿賀野川の目の前に東屋「滔々亭」、ギャラリー「藏銀河館」等々手弁当で作った建物群が出来ている。さらには、稲作、水芭蕉や古代蓮の池作り、建物群の背景となっている大沢畑という処の阿賀野川河畔の一角に遊歩道をつくり景観の保全に取り組んでいる。

 コスモ夢舞台は建物作りから始まり、アート・食・農・教育(中・高生の体験学習)・自然環境等々への取り組みと展開してきた。この構想が実現できたのも奥阿賀の豊実に立地条件の叶うバックグラウンドがあり、それを佐藤さんが引き出し、会員の協力があったからだと思う。

 私が今回2週間程滞在して、狐窪、わさび田、田圃の畦の草刈、田植、農家体験の高校生と薪運び、遊歩道のコースに積みあがっていた枝木の焼却等の作業を体験した。
草刈は害虫発生の予防である。薪運びはコスモ夢舞台の風呂の燃料にするためであるが地元連携に役立っている。間伐材や倒木を処理した薪を運ぶのに人手が必要なのである。佐藤さん夫妻は実家に戻ってきて数年しか経っていない。地元の人たちに受け入れてもらうため地道な交流を続けている。コスモ夢舞台も受け入れてもらうため地元の人たちとの連携は欠かせないのである。

 佐藤さんは構想の一環として学校づくりに着手した。“コスモ夢舞台塾”である。私が埼玉に帰る2日前、第一期生が2週間の日程で入塾するため新潟市からやってきた。20代前半の青年である。思うところがあり、自然環境のなかで自分を鍛えたいとのことのようだ。来たその日、即佐藤さんの指示で遊歩道の草刈を体験させた。草刈機の扱いは直ぐに覚え作業を始めた。

2日目の朝食前、佐藤さん、私、青年それと愛犬リキとで山に入って山菜ミズナ摘みをした。山の中に入ると沢沿いにミズナの群生が広がっていた。沢の流れと樹木の香気とで身体全体が活性されるような気分になった。摘んできたミズナを早速料理してもらい美味しい朝食をいただいた。和彩館店主マキ子さんの発案で、食膳感謝の言葉を唱和する。「天地一切の恵みと これを作られた人々のご苦労を感謝して いただきます。」農家体験に来る中・高生への教育を意識され考え出されたそうだ。

今日一日の仕事はハードな労働となった。昨日から始めた遊歩道の枝木の焼却、このところの晴天続きの暑さと火の燃える暑さとで体力を消耗させる。途中地元の人から杉の丸太の積み込みの手伝いを依頼される。メダカの養殖業の方からメダカと水草スイレンを頂けるとのことで日出谷に取りに行くなど。地元の人々との連携のこともあり臨機応変の対応が必要だ。これら全てがコスモ夢舞台へとつながって行く。

額にあせし草を刈り、薪を運ぶ。手をかけて米をつくり、山から染み出た水を飲む。
   大地の恵みをいただき、一日の労働をヒノキ風呂が癒してくれる。