2009.12.

2022.2.9
Café「みせばや」のひととき
森紘一

 立春を過ぎて、街中でも早咲きの紅梅・白梅がほころび始めている。まだ、朝夕の冷え込みは厳しいが、
歩き回るとうっすらと汗ばむ季節となってきた。

 2月5日、埼玉県蓮田市の特養ホームへ作品を寄贈するために佐藤さん夫妻が上京された。この機会に、都合のつく東京ブロックの仲間たちが川口市の安行出羽にあるCafé「みせばや」でご夫妻を囲んだ。

 「みせばや」は、花の名前である。秋になると長く垂れた花茎の先端
玉のような薄紅色の小花を咲かせる。この花を深山で見つけた高野山

の法師が、歌の師に「君に見せばや(見せたいものだ)」と文を添えて
贈っ
たという逸話がある。それが、そのまま花の名前になってしまった。
ちなみに、
花言葉は「大切なあなた」「つつましさ」。

 Café「みせばや」は、その名にふさわしい閑静な住宅街の瀟洒なカフェである。

 佐藤さんにとって蓮田市は、石彫作家として長く住み親しんだ第二の故郷である。お世話になった蓮田市に感謝の気持ちを込めて作品を寄贈された佐藤さん夫妻の心境は、おそらく「みせばや」の逸話にも似た恩返しであったに違いない。

 我々は今や、ほぼ全員が古希を超えている。それだけにお付き合いの年数も長い。こうして今回も、一仕事終えた佐藤さん夫妻を迎えて、一緒に歓談できることはありがたいことである。豊実の近況報告やイベント日程の変更など事務連絡もあったが、一堂に会するだけで、ゆったりとした幸せなときが流れる。
 ましてや、店主母娘の温かい“オモテナシ”もあって、佐藤さんではないが、春まだ浅い昼下がりのぬくもりを十分に楽しむことができた。