2009.12.

2016.02.28
田舎くらし
森 紘一 

 最近、地方への定住者・移住者募集やそのための支援事業、助成制度といった田舎くらしを進める活動をメディアも取り上げることが多くなってきたように思う。 

先日、総務省から公表された国勢調査の速報によると、全国1719市町村の約8割以上に人口減少がみられ、各自治体の危機感は強いという。都市との交流や住民サービスの充実などで人を呼び込もうと、各地で試行錯誤が続いていると新聞は伝えている。 

 一方、地方創生策を掲げる政府は、文化庁の京都への全面的な移転を固めたという。約230人の文化庁職員は、200人が京都市に移住することになる。さらに消費者庁の徳島移転も検討中という。成果のほどを注目していきたいところである。 

『バカの壁』などで著名な作家の養老孟司さんは、この点に関して以前から「参勤交代」の必要を主張されている。“都市に住む人に、年間数カ月は田舎に住むことを義務付ける。まずは、官僚から実践させる。田舎で農作業をやらせる。そうすれば、日本は確実に変わります。過疎地に人が来ることで変化がおきます。内需拡大策にもつながります。”「動いてこそ、感動に巡り合える」佐藤さんの常套句ではないが、やはり、動いてこそ壁は乗り越えられるものだと、わたしも頷いてしまう。 

ところで、田舎くらしの魅力とは何だろうか? 

好むと好まざるにかかわらず、大量生産、大量消費といった都会の暮らしに疲弊している人びとにとって、豊かな自然に囲まれたスローライフは人間らしい生き方のできるオアシスに思えるのかもしれない。 

移住できないまでも、コスモ夢舞台というベースキャンプを新潟県の阿賀町豊実に持つ我われは幸せである。損得勘定の物差しではなく、「アートのある生活」で感性を磨く時間を共有できることは、我われに安心と喜びを与えてくれる。

 今年で13回目となる里山アート展の継続開催でつちかった交流は得難いものである。個人と地域の元気に、少なからず繋がっているという実感は我々の誇りでもある。 

NPO法人になって7年目のコスモ夢舞台としても、阿賀町豊実への定住者・移住者の支援に向けて、阿賀町村役場とのさらなる協力体制を作り上げていきたいものである。

小学唱歌の『ふるさと』にいつまでも郷愁を覚えるふるさと願望は、我われ日本人に共通するDNAであるのかもしれない。