2009.12.

2018.09.26
「殻を破る」を読んで
森 英夫

 御沓さんの「殻を破る」を読んで、感想を述べたいと思います。

実は、御沓さんが佐藤さんから頼まれて、襖に枕草子の第一段を

書きに行く時に、豊実まで車で一緒に行きました。

道中、四方山話をしていく中で、たまたま書道の話になりました。

御沓さんが、漢字と仮名が混じった現代詩文に興味があり、

友人である永守蒼穹(そうきゅう)氏の話しになりました。

永守氏は私と佐藤さんが勤めていた私立高校の書道の先生で、

体育館でよく3人で相撲をとっていた仲間です。

そして永守氏の師匠である近代詩文の大家である金子鴎亭の話に及びました。

そんな訳で、たまたま書道の話になりましたが、

御沓さんにとっては、これから更の襖に一回で作品を書かなければならないの

でかなり緊張していたに違いありません。書道をしていた娘さんに下書きを見て

もらいアドバイスをもらったことも話されていました。

そして、豊実に着きました。私たちはそれぞれ作品作りに別れました。

私は石夢工房で私の作品づくりの段取りをして、暫くして和彩館に戻ってきました。

すると、御沓さんから作品の3/4ができたと連絡がありました。

私たちはすぐに展示館の2階に行きました。

そして、そこで見た襖に書かれていた書は、大変素晴らしい作品でした。

白地に枕草子の春はあけぼのから始まって、秋は夕暮れまでの文章が

6畳の部屋を、格調高い書院のような雰囲気の部屋につくりかえていました。

冬の段がまだ書かれていませんでしたが、すべて書き終えてから再度見に行き

御沓さんが下書きで用意してきた書と見比べた時、下書きの書のお行儀の良さに比べ

襖に書かれていた書のなんと自由闊達なことか。すっかり襖の作品に魅了されてしまいました。

そんな訳で、その晩は、御沓さんと一緒に襖を鑑賞しながらその部屋で寝た次第です。