2009.12.

2016.06.20
「風、奏でる」
森 紘一

 日曜日(6/19)の朝、たまたま目にしたTVが北海道のオホーツク海岸の風景を流していた。案内人は見覚えのあるマラソンの瀬古利彦さんである。やがて、常呂町の街並みを映しはじめた。「ひょっとすると」、小さな予感がひらめき、しばらく画面に見入ってしまった。 

 あれからすでに8年が過ぎている。会社をリタイアーしていたわたしは、元仕事仲間の先輩、同僚と三人で梅雨のない北海道の釧路から網走、知床方面のドライブを楽しんでいた。丁度、今頃の季節である。オホーツク街道へ出てから、佐藤さんの慰霊碑の彫刻を見学に、二人の同行者を説得して寄り道をし、東浜の海岸線を探し廻ったことが想いだされる。

 海岸線の国道沿いに、“晴れのち笑顔、ゆっくり走れと風が語ります。”と書かれた大きな三角看板の奥に交通安全モニュメントの『風、奏でる』はありました。雄大なオホーツクの海に向かって、テーマとタイトルが静かに呼応する見事な鎮魂の慰霊碑でした。 

 事故からはすでに、26年の歳月が流れている。当時、SB食品の陸上競技部監督だった瀬古さんは宿舎にいて事故を知ったそうですが、

痛恨の極みだったにちがいありません。 

コスモ夢舞台の前身である「ふくろう会」からの会員で、SB食品の役員であった小林尚一さんが仲に立ち、佐藤さんに制作の依頼があったと聞いています。この慰霊碑は事故から一年後の一周忌に現在地に設置されました。 

合宿中に選手たちと通った食堂や飲食店の紹介がメインでしたが、『風、奏でる』を案内できて、瀬古さんもほっとされたのではないでしょうか。慰霊碑の前で手を合わせる瀬古さんの表情が印象的でした。