2009.12.

2011.09.21
森を活かした地域づくりシンポジウム
佐藤賢太郎

会津、阿賀野川流域「森を活かした地域づくりシンポジウム」が喜多方市喜多方プラザで開催され私も参加いたしました。その中で、立教大学院 内山 節教授の講演があり印象に残りました。その要点を、かいつまんで勝手ながら述べてみます。

会員の方から薦められて、内山さんの著書は3冊ほど読んでおりますが、群馬県上野村に住む哲学者で大学教授をされている方です。パネラーを含め、過疎化の進む中で荒れた森をどのように活かしてゆくか、ということが今回のテーマでした。

内山さんは哲学者らしく森と人の関係、山村の魅力、東日本大震災以降の社会の変化、伝統を再評価する時代などを話され共感するところが多くありました。森林を活かすには、森林だけを考えてはいけないということが内山さんの持論のようです。森林を活用して経済性を高め、それで豊かになろう、ではいけないないのです。

私の住む阿賀町も90パーセントが森林という地域で、昔は関東に向けた炭の大生産地であった。しかし時代は移り、炭焼きは殆ど消えて石油に代わってしまった。そして戦後、経済性を求めて、栗の木を切り、杉の植林はしたものの手入れは出来なく荒れている。猿や熊が里に下りてくる現状である。町ではこの森林を活用できないか考え、間伐材等を使い燃料にしようとする計画もあるようです。

かいつまんで申し訳ありませんが、その点を内山さんはただ経済性を考えるだけではいけないといっている。森と人の関係、山村の魅力をフランスと日本を比較しながら述べておられました。フランスでは都会から田舎に住みたい方が多くなった。なぜなのだろう? それは、移住する人が人間らしい暮らしをしたいからだと言う。

私はNPO法人コスモ夢舞台を仲間とともに立ち上げた。現代の桃源郷の設立、つまり過疎で見捨てられてゆく地域を魅力ある田舎にしようといろいろなことをしている。小規模ながら、都市の人びとと魅力ある田舎づくりを実践しているという自負がある。国にも出来ないコスモ夢舞台共和国を作っている、と冗談を言っている。

さて内山さんの話しを続けますと、大震災以後、都市の危うさをますます認識されているようです。都市にとって山村は必要なところ、そして田舎にとっても都市は必要なところ、つまり相互に開かれた社会をいかに創るかが肝心と述べておられました。

これからは先がわからない時代である。アメリカが倒れるかもしれない、すると中国も依存していて倒れてしまう。ヨーロッパは爆弾を抱えている。それらが連鎖して世界中に飛び火してしまう危険性があると言うようなことをおしゃっていました。

私は米、野菜、味噌は作っている。パソコンは使わせていただいているが、それなしでも自給自足できるところだけが生き延びられるのではなかろうか。

日本の伝統を再評価する時代のはじまりと世界の方が注目している。そして若者も伝統は知らなくとも伝統が大事であると思い始めていると結んでいました。

戦前のような愛国心ではない、本当の愛国心をもった国つくりに向かう。自然の摂理を基本にし、自然への信仰心があり、道徳心の高い誇りある日本にしないければなりません。そして自然の中に生きる生き方を大切にしなければと思います。

私は体調を崩し、自然食を取るようになり、食をはじめ、生き方を変えることになり、感じるところが多くなりました。

その意味でも、過疎に生きるなかで共感するところが多い講演でありました。
出来れば、いつかコスモ夢舞台に内山先生をお迎えして講演していただけたらと願いました。